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  • 2018/08/17

SAPに聞いた「2025年保守切れ問題」、S/4HANAへ移行する選択肢には何があるのか

連載:次世代ERPによるビジネス変革

いま使っているSAP ERPのサポートが2025年末に切れる。SAP ERPのユーザー企業に与えられた時間はあと7年だけ──突如、注目を集めることになったSAPの「2025年保守切れ問題」は、現在、ユーザー企業にさまざまな憶測と不安を抱かせているようだ。そこで、SAPジャパンの担当者を直撃し、問題の本質はどこにあるのか、さらにSAPとして提供している対応方法、ならびに次期バージョン「SAP S/4HANA」への移行方法、ならびに対応可能なエキスパート数の動向などについて話を聞いた。

聞き手:フロンティアワン 鍋野敬一郎、ビジネス+IT編集部 松尾慎司、執筆:井上健語

聞き手:フロンティアワン 鍋野敬一郎、ビジネス+IT編集部 松尾慎司、執筆:井上健語

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ERP戦略を考えるべきタイミングが来ている
(©profit_image - Fotolia)

SAPの「2025年保守切れ問題」とは何か? SAPの正式な見解は?

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 SAP ERPは、多くの企業に導入されているグローバルで最もメジャーなERPパッケージだ。そのSAPをめぐって、最近にわかに注目を集めているのが「2025年保守切れ問題」である。弊メディアでの記事「SAP ERPの保守切れ「2025年問題」、4つの選択肢のどれを選ぶべきか」をはじめ、いくつかのメディアで同問題が取り上げられたこともきっかけとなり、多くのSAPユーザー企業の注目を集めることになった。

 ただ、それが具体的にどのような問題なのか。保守切れを迎える製品が何なのか。切れたらどうなるのか……等々。いまだはっきりしない部分は多い。

 SAPジャパン ソリューション統括本部 デジタルアプリケーション1部 マネージャー 上硲優子氏は、この問題に対する同社の見解について「SAPジャパンが公式にアナウンスしているのは、現時点ではこのページの情報がすべてです。ここの表1の製品について、2025年12月31日までメインストリーム・メンテナンスを提供することが明記されています。では、それ以降、どうなるのかについては、現時点ではまだ何も決まっていません。このため、2025年12月31日を過ぎたら、サポートがすべて打ち切られるかのように受け止められていますが、『現時点では何も決まっていない』というのが事実です」と述べる。

表1 2025年12月31日までメインストリーム・サポートが提供される製品
SAP Business Suite 7 コアアプリケーションリリース
SAP ERP 6.0
SAP Customer Relationship Management 7.0
SAP Supply Chain Management 7.0
SAP Supplier Relationship Management 7.0
SAP Business Suite powered by SAP HANA 2013


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SAPジャパン
ソリューション統括本部
デジタルアプリケーション1部
マネージャー
上硲 優子 氏
 ここでいう「メインストリーム・サポート」とは、ソフトウェアの不具合を修正するパッチの提供、発生した問題への対応、SAP製品を活用するうえで必要なサービス提供などが行われる期間だ。それが終了すると、「カスタマースペシフィックメンテナンス」に移行する。これは、いわば個々の企業のごとに提供される独自サポートで対応が必要となる期間だ。

 現実に、R/3などの過去のバージョンにおいては、古いバージョンを使い続ける企業に対して、カスタマースペシフィックメンテナンスが有償で提供されたこともあったという。

 ただし、表1の製品についてのSAPの公式見解は、あくまで「2025年12月31日までメインストリーム・サポートを提供する」だ。

 なお、もともと表1に上げた製品のメインストリーム・サポートは、2015年に終了する予定だった。それがユーザー企業の要望で2020年に延長され、さらに2025年まで延長されたという経緯があるので、さらに延長もあるのでは?という見解もあるが、本社からのアナウンスがないためSAPジャパンとしては「お答えできない」という。

SAP S/4HANAへの移行は進んでいるのか

 現在、SAP ERPの最新バージョンは2015年にリリースされた「SAP S/4HANA」である。従来のSAP ERPのテーブル構成を見直し、インメモリデータベース「SAP HANA」をベースに、中間テーブルを廃し、要求されたタイミングでのオンデマンド集計処理を実現するなどさまざまな機能が強化された。

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SAP S/4HANAはERPの定義すら変えようとする製品だ
(出典:SAP提供資料)
 とはいえ、いまだに過去の製品を使い続けている企業は多く、2000社以上が影響を受けるとの試算もある。なぜ、移行が進まないのか。SAPジャパン ソリューションCoE シニアディレクター川中健 氏は「まず、S/4HANAに移行されているお客さまは、けっして少なくない」と主張する。

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SAPジャパン
ソリューションCoE
シニアディレクター
川中 健 氏
「SAPを利用されているお客さまの数は膨大です。また、移行には時間も予算もかかりますし、人も必要です。ERPの移行は全社的な取り組みになりますから、多くの人が関わってきます。そこをどう手当てしてプランを描くかは、簡単なものではありません」(川中氏)

 もう1つ気になるのがアドオンの存在だ。特に日本企業は、パッケージで足りない機能をアドオンで開発し、それが移行の妨げになっているという見方がある。

「確かに、日本のお客さまはアドオンが多いという特徴はあると思います。作ったアドオンをそのまま移行しようとすると、その検証と移行に相応の工数が必要です。一方、移行をきっかけにアドオンを見直す場合も、業務部門を巻き込んだプロジェクトが必要になるでしょう。したがって、お客さまが次の基幹システムに何を求めるのかを、まずは明確することが重要になります」(川中氏)

 とはいえ、上硲氏は「ここ数年は様子見だったのではないか」とし、今後の展開を次のように予想する。

「2015年2月にリリースされたS4/HANAは、当初は会計部分からスタートし、徐々に機能を拡張しました。現在のオンプレミス版は、1年に一度、大型アップデートを実施しています。このため、多くのお客さまは、これまでは様子見の段階であったと思います。しかし、ここにきてS4/HANAへ移行されたお客さまも増え始め、公表できる事例も増えてきました。今後はS4/HANAへの移行を検討されるお客さまは、確実に増えると予想しています」(上硲氏)

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S/4HANAに統合された基幹業務システム

【次ページ】SAPが提示するS/4HANA移行の4つの選択肢

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