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- 2017/06/16 掲載
CIOが直面するERPクラウド化の課題、なぜ「ミレニアル世代対応」が必要なのか
そのERPは「ミレニアル世代」に対応しているか
その理由として、同氏は「ミレニアル世代対応」の重要性を指摘する。
「スマホは場所を選ばない使い方を可能にするコンシューマーITであるとともに、『デジタルネイティブ』と呼ばれるミレニアル世代が最も慣れ親しんだデバイスでもあります。
彼らは、分厚いマニュアルを読み込んでシステム操作を学んだりしません。まず触れて操作し、直感的にどう動かすのかをマスターしていく。しかし、従来の基幹システムはこうした点において対極にあります。企業の直面している課題とは、ERPが『簡単に触れない』『使えない』システムになっているということです」(桐生氏)
スマホ登場以前のERPを使い続ける日本企業が約6割
スマホと従来のERPとの大きな違いは、そのバージョンアップサイクルにもある。スマホは年ごとに新しい端末が発表され、その上で動くアプリも数週間、数か月のサイクルでアップグレードされていく。これに対して従来のERPは、5年ごとのハードウェアの更改を機にソフトウェアのアップグレードが行われることが多いという。そのため設計工程からの時間を考えると、2017年の今動いているシステムは、2008、9年に決まった仕様のままである可能性もあるというのだ。
「イノベーションし続けなければ、企業は市場から淘汰されてしまいます。どんどん変化していく情勢の中で業務変革の意図を持って取り組むべきテーマの一つが、ERPのモバイルデバイス対応なのです」(桐生氏)
ただ、このような事実に企業がまったく気づいていない、というわけでもなさそうだ。2016年、アナリスト機関のガートナーが世界のCIOを対象に行った意識調査によれば、日本のCIOが「最優先でIT投資すべき」と考えているのはERPだという。
同社が日本企業に基幹システムの「年齢」を調査してみると、59.5%が10年以上前のシステムを利用していることが判明した。
日本のERP市場は1990年代から2000年代にかけて立ち上がり導入が進んだ。先ほどのデータを見ると、スマホが存在しなかった時代の旧態依然とした業務プロセス、それに合わせた基幹システムが今も動いている、という企業は多いのだ。
【次ページ】ERPのSaaS化を実現する3つのアプローチとその先進事例
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