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- 2016/01/13 掲載
ERP刷新の方法をガートナーが指南、最初は何から取り組むべきか
ERPを中心としたビジネス・アプリケーション分野における日本市場の動向調査/分析、ならびに製品選定/導入に関するユーザー企業向けのアドバイスを担当。ガートナー ジャパン入社以前は、米系コンサルティング会社において業務改革/システム導入にかかわるコンサルティング業務に従事。慶応義塾大学総合政策学部卒。
レガシーとなったERPが抱える課題
その意味からも、レガシーシステムをビジネス視点に基づいて最適化し、モダナイゼーション(近代化)を図っていくことが必須となっているのである。
刷新が求められるさまざまなIT基盤の中でも特に重要なコアとして、ガートナーがアナリティクスやアーキテクチャと並ぶ3大要素のひとつに位置付けているのがERPだ。
グローバル全体の動きとして、大量のカスタマイズが施されたERPは、2016年には「レガシーERP」と呼ばれることが普通になるだろう。また、日本においてはERPを利用している大企業の30%が保守コストを抑制するため、2018年までに他のERPへの乗り換えや第三者保守ベンダーへの移行を試みると考えられる。
では実際に日本企業はいま、ERPのどんな課題に直面しているのか。ガートナー(ITデマンド・リサーチ)が2014年11月に実施した調査によると、既存のERPに対しても「安定的なシステム運用」「サポート対応」「全般的な機能性」「ビジネス成長の実現」といった項目に対しては相対的に高い満足度を示している。
一方で、不満が高まっているのが、「コスト・パフォーマンス」「カスタマイズ性」「グローバル・サポート」「テクノロジーの革新性」といった項目である。
さらに、ERPに対する満足/不満をユーザー層別にとらえてみると、バックオフィス部門のパワーユーザーの間では満足度が高いのに対して、事業部門や海外拠点のビジネスリーダーやカジュアルユーザーは大きな不満を抱えているといった、ある種の対立構造が浮かび上がってくる。
既存のERPは定型的なトランザクションを効率的に処理することに主眼が置かれ、ビジネス上の差別化や革新の実現、あるいはユーザーフレンドリーな直感的な操作といったニーズに対してはおざなりにされてきた側面が否めない。
【次ページ】これからのERPにはIoTやオムニチャネルなどへの対応も求められる
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