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  • 2018/12/05 掲載

本当に働きやすい場所はどこ?4つの技術で実現「スマートワークプレース」とは

フロスト&サリバン連載~産業別に見るICTのインパクト~

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現在、「働き方改革」が叫ばれているが、単に「労働時間を削減しよう」という掛け声だけでうまくいくほど簡単ではない。成果を上げつつ従業員の満足度を高め、社会全体の価値を向上させる「真の働き方改革」を成功させるためには、各ステークホルダーの意識改革もさることながら、テクノロジーの恩恵をフルに受けることも必要になる。今回は「スマートワークプレース」の現状と、活用されているテクノロジーについて、フロスト&サリバンジャパン成長戦略シニアマネージャーの伊藤祐氏が解説する。

フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐

フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐

フロスト&サリバンジャパン 成長戦略シニアマネージャー。日本、シンガポール、フィリピン、タイ、イギリス等において、ビジネスプロセスリエンジニアリングやERPシステム導入、海外展開戦略策定やM&A実行支援、スマートシティのグローバルトレンド調査等のプロジェクトに携わる。慶應義塾大学にて経済学士取得。

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多様な働き方を実現し、優秀な人材を確保するには「スマートワークプレース」が欠かせない
(© FotolEdhar - Fotolia)

「スマートワークプレース」とは何か? 構成するのは4つの技術

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 みなさんは、今の職場環境についてどのように感じているだろうか。満員電車に揺られながら出勤し、不毛な会議や電話に作業を中断され、毎日残業まみれになっている……。そういう方も、まだまだ多いのではないだろうか。

 これが是とされていた時代もあったかもしれないが、現在は「スマートに働く」ことへの意識が高まっている。より柔軟で生産性の高い働き方が求められるようになった背景には、大きく分けて「人口動態のシフト」と「テクノロジーの進化」が挙げられる。

 国際労働機関(ILO)の調査では、世界の労働人口は、2025年に約36億9000万人に達すると予想されている。これらの労働人口の大半は、スマートフォンやAR(拡張現実:Augmented Reality)、VR(仮想現実:Virtual Reality)など、さまざまなテクノロジーに慣れ親しんでおり、それらを活用して仕事をしたいと望むだろう。そういう人たちにとって魅力的な労働環境を提供できなければ、早晩、企業は人材不足にあえぐこととなる。

 2025年の労働人口として主力となるのは、X世代(2025年時点で45~60歳)やミレニアル世代(2025年時点で25歳から44歳)といわれるカテゴリの世代だが、彼らは下記のような特徴を持つという調査結果がある。

・家族とのコミュニケーションを強く重視しているため、柔軟な働き方を求める。
・正社員にこだわらず、フリーランスとして働くことを違和感なく受け入れる。
・毎日オフィスに出社することを良しとせず、リモート勤務を求める。

 今までの価値観と大きく違う世代が労働人口の多くを占めるようになり、それを実現するための議論が盛んになったといえよう。

スマートワークプレイスを構成する4つの技術

 また、これらの要望をかなえるためのツールもどんどん開発されている。フロスト&サリバンでは、オフィスで使われているテクノロジーを、大きく「Connectivity and Convergence(コネクティビティとコンバージェンス)」「Video(ビデオ)」「Social(ソーシャル)」「Mobile(モバイル)」の4つに分けている。

画像
オフィスで使われているテクノロジー
(出典:フロスト&サリバン)

 すでにさまざまなツールがインターネットに接続し、電話やメールに頼らずともチャットでタスクをこなしたり、はるか遠くの国のクライアントや同僚ともビデオ会議を実施できるようになっている。今後はさらに、AIを活用したデジタルアシスタントやウェアラブル機器が一般的になっていくと予想されている。これらの技術的な進歩も、スマートワークプレースを進展させるための議論を、より具体的にする一助となっている。

「いつでも」「どこでも」「どんなことでも」、BYODで実現

 では、今後10年間で職場で使われるテクノロジーはどのように変化していくのか。フロスト&サリバンの調査では、下記の図のようにまとめている。

画像
今後10年間で職場で使われるテクノロジー
(出典:フロスト&サリバン)

 どのような場所でも、タブレットやラップトップ、ウェアラブルデバイスやスマートフォンなどのアプリケーションにより、その場に適したコミュニケーションや仕事ができるようになっていくと考えられている。

 現在も徐々にこのトレンドが見られるようになっているが、「いつでも」「どこでも」「どんなことでも」という仕事のやり方は、今後さらに浸透していくだろう。

 このトレンドは、2025年までの各デバイスの普及にも支えられている。フロスト&サリバンの調査では、2025年までにスマートフォンは全世界で37億台、タブレットは7億台、ウェアラウルデバイスは5億2000万台普及すると予想されている。このようなデバイスがより一般的になり、かつテクノロジーに慣れ親しんでいる世代が労働のメインとなるため、職場の環境が変わっていくのは、もはや避けられない状況である。

 こうした変化に対応するために必要となるのが、自分の情報端末を利用する「Bring Your Own Device(BYOD)」への対応だ。日本語に訳すと「個人所有デバイスの活用」となる。現在はセキュリティの関係上、会社がノートPCやスマートフォンを支給しているが、「いつでも」「どこでも」「どんな仕事でも」するためには、それでは限界がある。

 個人所有のデバイスでも仕事ができるような環境を整え、ストレスなく仕事を進められるようにしなくてはならない。特に若い世代は、自身の所有するデバイスに強い愛着を持っているケースが多い。仕事に活用するデバイスも、会社から指示されたものではなく、自身で選んだものを使いたいという要望を強く持っている場合、会社支給のものを無理やり使わせることで、会社へのロイヤリティが下がる可能性も無視できない。

【次ページ】オフィスに求めるものも変化

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