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  • 2018/07/17

LINEオフィスを完全解剖、企業戦略は職場環境にどう落とし込まれたのか?

連載:建築家 小堀哲夫のオフィス探訪

前回、LINEのオフィスの責任者である同社 クリエイティブセンター BX室 スペースデザインチーム マネージャー 山根脩平氏の解説と、JIA日本建築大賞と日本建築学会賞を受賞した建築家 小堀哲夫氏の分析とともにLINEのオフィスを紹介した。今回は両氏が「クリエイティブな職場づくり」を議論。イノベーションを起こす環境の在り方を考える。

構成:編集部 佐藤友理、執筆: 桑原 晃弥

構成:編集部 佐藤友理、執筆: 桑原 晃弥

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建築家 小堀哲夫氏(左)と同社 クリエイティブセンター BX室 スペースデザインチーム マネージャー 山根脩平氏(右)


LINEのオフィスの条件は「みんなでつくること」

――今回の取材は、小堀さんがLINEに興味を持たれたことがきっかけで実現しました。どんなところが気になったのでしょうか。

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2017年に「日本建築学会賞」「JIA日本建築大賞」という国内二大建築賞を史上初めて同年中にダブル受賞した小堀哲夫建築設計事務所 建築家で法政大学兼任講師の小堀哲夫氏

小堀氏:LINEのような、誰もが知っている企業のオフィス戦略を知りたいと思いました。

 経営者には悩みがあり、その悩みを解決するためにオフィスをつくろうとします。悩みというのは会議室が足りないというのもあるし、新しい発想を生みたいというのもあります。コミュニケーションが十分にできないからコミュニケーションをとれるようにしようというのもあります。

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前編で紹介したLINEのカフェ、コミュニケーションラウンジ、執務室、保育所
(画像提供:LINE)

 しかし、実際にLINEのにぎやかなコミュニケーションラウンジ、食事にもミーティングにも使えるカフェ、静かな執務室、保育所などを見てみると、LINEのオフィスは経営者目線の課題解決だけでなく、社員1人ひとりの課題解決という側面もあるのではないかと思いました。

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山根氏:社員にアンケートを実施し、できるだけ社員のニーズを確認し、アンケート内容をそのままアウトプットにするのではなく、さまざまな意見を構造化し、抽象化するプロセスの中でLINEオフィスのあるべき姿を考え抜きました。「みんなでつくったオフィスにする」ことが大事だからです。
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隈研吾建築都市設計事務所で歌舞伎座、国内外のホールやホテル、住宅などを担当した山根氏。2015年にLINEに入社し、空間のブランディング・設計・デザインを行うチームを率いる。

 LINEでは高い専門性を持ったチームに裁量が与えられています。そのため、トライ&エラーを繰り返しながら、スピード感のあるアウトプットができます。

オフィスづくりの肝は「アンケートの解釈と編集」

――アンケートはどのように実施したのですか?

山根氏:まだ渋谷のヒカリエにオフィスがあったときにアンケートをとり始めました。内容は「今の環境をどう思っているか」についてです。自由回答ではなく、全部〇×で答えてもらいました。自由回答だと中身はカオスですし、「何で反映されないんだ」という人も出てきます。〇か×だとそうした声は出てきません。

 アンケート項目は人事や総務と協力してつくりました。重要なのは回答(事実)を解釈し抽象化(編集)することだと考えています。

 たとえば、「会議室が足りない」という回答が多く集まりました。そこで、「会議室を単純に増やせばいいのか」と考えるのが私の仕事です。

 「会議室」の本質は「集まって話し合う場」です。そう考えたら、別にいわゆる「会議室」である必要性はない。そこで、モニターがあって話し合える場所があればいいと考え、そういう場所をオープンスペースやカフェにたくさんつくりました。

 実際にやってみると、会議室って思ったよりも必要ないことが分かります。今では逆に「会議室を減らしてモニターで話せる場所を増やした方がいい」という意見が出るくらいです。

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LINEスタンプでおなじみの「BOSS」がいる会議室もある

小堀氏:みんなのニーズを拾い上げると収拾がつきません。「必要な会議室」をヒアリングすると、会議室を2倍、3倍つくることになり、面積が足りなくなるか、廊下が狭くなります。それをひっくるめて解決するのが建築・設計です。山根さんが設計事務所にいた経験があり、空間的な解決方法を知っていたというのが大きいのではないでしょうか。

「自由なスペース」は「自由に使え」では実現しない

――小堀さんがLINEのオフィスで特に面白いと思った点はどこですか。

小堀氏:先ほどカフェを見学しましたが、15時過ぎにたくさんの人がいました。どの会社でも「場所をシェアしろ」「自由に使え」「打ち合わせに使っていい」とは言うのですが、みんな「あそこはカフェだから」という固定観念に引っ張られて自由に使えなくなってしまうことが多い。でも、LINEの場合はいい意味で「カフェ然」としていません。だからあんなに自由に使えるのでしょうね。

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にぎやかなカフェ。社内外の人でディスカッションをしているテーブルもあれば、静かに窓辺で作業している社員もいる

山根氏:抽象的な言い方になりますが、当社には「何でもあり」な企業風土があります。だからこそ「カフェ」という言葉に引きずられないのかもしれません。

小堀氏:なるほど。ただ、「何でもあり」だと、想定外の問題が出てくるリスクがあるのではないでしょうか。たとえば、カフェに社外の人を呼んでいろいろ話しているうちに、重要な情報が流出したり、本人が悪いことと思わずに企業にダメージを与えるような「炎上」沙汰が起きたり。そういうリスクはどうコントロールしていますか?

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コーヒー、軽食はカフェで購入できる。もちろん会計はLINE Pay
(画像提供:LINE)

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カフェのそばにはLINE Payの使い方の案内も
山根氏:カフェの自由な使用は推奨していますが、ルールが何もないというわけではありません。たとえばカフェではお酒を出しません。そういう要望はありますが、まだその成熟度に達していないと考えています。代わりに、週に1回とか、月に1回とかで無料でお酒を飲めるような日をつくるとか、1つずつやっていこうと思っています。

――情報流出まではいかなくても、これまで何か困ったことはありましたか?

山根氏:今のところ困ったことはありません。コンプライアンスについては細かく研修をしているからかもしれません。

【次ページ】LINEのオフィスの役割は「モチベーションを下げないこと」

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