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  • 2019/05/18

「期待に応えようと頑張ること」をやめれば、仕事はうまくいく

もう終わったことを、クヨクヨと思い出してしまう。本当は人に頼りたいのに、頼れない。誰しもこのように、自分で自分の心が思い通りにならず、仕事がうまくいかなかった経験があるはずだ。そこで『自己肯定感の教科書』の著者であるカリスマ心理カウンセラーの中島 輝 氏が、2つの事例から、自分の心をコントロールして仕事を円滑に進める術を紹介する。

心理カウンセラー 中島 輝

心理カウンセラー 中島 輝

5歳で里親の夜逃げという喪失体験をし、9歳ごろから、HSP、双極性障害、パニック障害、統合失調症、強迫性障害、不安神経症、潰瘍性大腸炎、斜視、過呼吸、認知症、円形脱毛症に苦しむ。10年間実家に引きこもりつつ、代表取締役としてグループ会社を運営。独学で学んだセラピー・カウンセリング・コーチングを実践し続ける。「恩師の死」がきっかけとなり35歳で克服。自殺未遂の現場にも立ち会うような重度の方、Jリーガー、上場企業の経営者など15,000名を超えるクライアントにカウンセリングを行い、回復率95%、6ヵ月800人以上の予約待ちに。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれ上場企業の研修オファーも殺到。現在は、ニューライフスタイルを提案する資格認定団体「トリエ」(旧国際コミュニティセラピスト協会、他5団体)を主催し120以上のオリジナル講座を開発。新しい生き方を探求する「輝塾」、好きを仕事にする起業塾「The・DIAMOND」を主催し、週末の講座は毎回即満席となっている。

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過去のトラウマや周囲の期待に押しつぶされず、仕事を成功させるメンタルマネジメント法とは?
(Photo/Getty Images)
前編はこちら(※この記事は後編です)

事例1:上司に責任転嫁された傷が癒えず、いら立つ

 数年前、上司と組んで新規プロジェクトの立ち上げに携わっていた大谷さん。残業や休日出勤も続き、しんどい毎日でしたが「チームのためになるから」「上司から求められているから」と懸命にがんばりました。

 ところが、いざプロジェクトが始動すると、思ったような成果が出ず、頓挫。上司は「うまくいかなかったのは、君のせいだ」と大谷さんに責任を転嫁しました。数年前のことながら上司に裏切られた思いは消えず、ふとしたときに思い出してはイライラする。そして、そんな自分の器の小ささにいら立っているという相談でした。

過去の怒りから解放される方法とは?

 信頼していた相手から裏切られたときの驚き、悔しさ、虚しさというのはなかなか消えるものではありません。一方で、数年前の出来事について思い悩んでいる自分を残念に思う気持ちもよくわかります。相手へのネガティブな感情、自分へのもやもやとした想いがうまく処理できずにいると自己受容感はじわじわと低下。自己肯定感も低空飛行を続けることになります。

 そんなとき、有効なのは自分が抱えている苦しい感情をしっかりと認識することです。

 そこで私が大谷さんにすすめたのは、「エクスプレッシブ・ライティング」と呼ばれる感情を紙に書き出すテクニックでした。これは1980年代に生まれた心理療法です。ポイントは自己受容感を損なう原因となった出来事とそのときの感情を思い出し、紙に書き出すことです。忖度は一切ナシで自分の思いの丈を正直に書きます。

 大谷さんの場合で言えば、「上司の◯◯、ふざけるな!」「人のせいにするな!」「信じてがんばったのに、心から裏切られた」といった言葉になるのかもしれません。とにかく書き出すことで、抱えているネガティブな感情をしっかりと認識することができます。すると、不思議なことに忘れたくても忘れられなかった記憶へのこだわりが、「ま、いっか」と小さくなっていくのです。

 心に痛みがあるということは、大谷さんは、いまでも上司が気になる対象なのです。さまざまなことがありますから、バッサリと思いを断ち切ることは不可能です。しかし、「ま、いっか。そんな人もいるか」と、自分で許すことを受け容れたことで、上司が気にならなくなり、怒りというネガティブな感情から大谷さんは自由になれたのです。そして、新しい道に進むことができたのです。

明確になれば、囚われから卒業できる

 なぜ、書き出すことで、いつまでも気になっていたことやいつもつきまとってくる不安に変化が生じるかと言うと、私たちの脳は、ぼんやりと気にかかっていることほど忘れられず、きちんと整理でき、区切りが付いたことは忘れられるという性質があるからです。人間は区切りをつければ忘れられるのです。

 アメリカの心理学者ダニエル・ウェグナーが行った「シロクマの実験」と呼ばれる研究があります。この研究では、実験に参加した協力者を3つのグループに分け、シロクマの1日を追ったドキュメンタリー映像を見てもらい、その後、それぞれのグループに次のような異なる指示を出しました。

  1. Aグループ:「シロクマのことを覚えておいてください」
  2. Bグループ:「シロクマのことを考えても考えなくてもいいです」
  3. Cグループ:「シロクマのことは絶対に考えないでください」

 研究チームは1年後、実験の参加者を集め、映像の内容について覚えているかどうかを尋ねました。すると、もっとも鮮明にシロクマのドキュメンタリー映像の内容を覚えていたのは、「シロクマのことは絶対に考えないでください」と指示されていたCのグループだったのです。

 ウェグナー博士はこの実験の結果を受けて、「何かを考えないように努力すればするほど、かえってそのことが頭から離れなくなる」という脳の働きを「皮肉過程理論」と名づけ、論文にまとめました。

 つまり、私たちは「忘れたい」「こだわりたくない」と意識していることほど、「忘れられず」「こだわってしまう」のです。しかも、自己肯定感が下がっているとネガティブな出来事への反応が強くなるので、ますます忘れられなくなります。

 そこで、「エクスプレッシブ・ライティング」です。感情を紙に書き出し、文章化します。自分で目視できるようにすることで、「忘れたい」「こだわりたくない」出来事とそのときに抱いた感情が明確になります。

 すると、明確に意識したことで忘れやすく、手放しやすくなるわけです。そうやって悩みを乗り越える経験によって、自己受容感も回復します。「ネガティブな感情を抱くのは当たり前」「そんな自分も受け入れられる」「自分は乗り越える方法を知っている」といった心境になり、「だから大丈夫」と思えるようになるからです。

【次ページ】事例2:高い目標設定に押しつぶされる

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