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  • 2019/07/30

ネット投票にブロックチェーン活用、それでも「若者の政治離れ」は防げない深刻事情

茨城県つくば市が顔認証による本人確認やブロックチェーン技術を活用したインターネット投票の実証実験を8月に実施する。総務省は2019年度中に在外投票を視野に入れたシステム上の実証実験を予定している。ともに実用化に向けた課題を洗い出すのが目的で、若者の政治離れなどから低下に歯止めがかからない選挙の投票率アップ策として期待する声もある。しかし、すでにネット投票を実現しているエストニアの事情に詳しい北九州市立大法学部の中井遼准教授(比較政治学)は「投票率を上げる効果はほとんどないというのが現地の認識」と指摘する。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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4月の統一地方選挙で大阪府知事選など4選挙のポスターが掲げられた大阪市浪速区の掲示板。インターネット投票の導入が投票率アップのきっかけになるのだろうか
(写真:筆者撮影)

つくば市はスマホからの投票も実験

 つくば市の実証実験は政治情報サイト運営のVOTE FOR、NEC、システム開発のユニバーサルコムピューターシステムと協力して実施するもので、2018年に次いで2回目。つくば市が超スマート社会実現に向け、全国から革新的な実証実験を募集する「Society5.0社会実装トライアル支援事業」の最終審査で実施する。

 つくば市科学技術振興課は実証実験の目的を「社会変革を実現できる革新的な技術開発に手を貸すため」と説明しているが、ネット投票の実現を目標とするVOTE FORがこれに乗る形で投票内容の改ざん防止など公職選挙にネット投票を導入する際に検討すべき課題を実証する。

 2018年の実証実験はマイナンバーカードの署名用電子証明書を利用して投票端末から一票を投じた。今回は新たに顔認証による本人確認とスマートフォンからの投票を加える。投票には一般の人も参加できる。

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インターネット投票実証実験の役割分担
(VOTEFOR提供)
 企画や仕様設計はVOTE FORが担当し、顔認証基盤はNECが提供する。ブロックチェーン技術基盤の提供とネット投票システムの開発は、ユニバーサルコムピューターシステムが受け持つ。

 VOTE FORは「公職選挙にネット投票が導入されれば、有権者の投票機会が広がる。実証実験で実用化に向けた課題をクリアし、公職選挙への導入を推し進めていきたい」と意欲を見せている。


総務省はシステム上でセキュリティなど検証

 総務省は年度内にセキュリティ面の課題などを洗い出す実証実験を進める予定。本年度予算に試験的な投票システムの開発費など約2億5,000万円の予算を計上しており、近く実施日程の詰めに入る。

 実証実験はシステム上で行われ、セキュリティ以外の投票フローの課題も点検する。実証実験で得られたデータは、今後のシステム開発などに生かす計画だ。

 総務省が導入検討の対象としているのは、海外在住の邦人を対象とした在外投票。現在は公館に出向いたり、郵送したりして投票しているが、投票期間が短く、遠隔地から出向く負担が大きいなどの課題が指摘されている。

 18歳以上の在外邦人は約100万人いるものの、在外選挙人名簿に登録しているのは約10万人にすぎない。登録者の投票率も20%前後にとどまっている。これを改善するため、総務省の有識者会議は2018年、在外投票にネット投票導入が考えられるとした報告書をまとめた。有識者会議はネット投票の仕組みを国内の選挙に応用が可能としている。

 実際に運用する際の課題としては、本人確認や投票データの暗号化、システムダウンへの対応などが考えられる。総務省選挙部管理課は「1つひとつの課題を解決し、システム開発に生かしたい」と述べた。

【次ページ】21日投票の参院選の投票率でも示された「政治離れ」

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