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  • 2020/07/09 掲載

「地方移住」のきっかけはテレワーク、すでに出ている移住者獲得の“勝ち組”

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新型コロナウイルスの感染拡大を契機に地方移住に目を向ける人が増えている。内閣府の世論調査ではテレワーク(在宅勤務)経験者の4人に1人が移住への関心を高めていることが分かったほか、オンラインの移住相談会には20代、30代の若い世代がかつてない規模で参加するようになった。理想の生活を求めて自発的に移住することを「ライフスタイル移住」と呼ぶが、弘前大大学院地域社会研究科の平井太郎准教授(社会学)は「仕事と生活のバランスで生活を重視した結果、若い世代にライフスタイル移住の流れが来ている」と分析している。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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大阪市中央区本町橋の大阪ふるさと暮らし情報センターで移住相談に応じる職員。コロナ禍で若者を中心に移住希望者が増えている
(写真:筆者撮影)

20代中心に延べ約6500人が移住相談

 「これだけ大規模のオンラインイベントを開いたのは初めてだが、ここまで多くの人が参加してくれるとは思わなかった」。移住仲介サービス「SMOUT(スマウト)」を運営するカヤックLiving。その親会社カヤックの広報担当 梶陽子さんは目を丸くする。

 神奈川県鎌倉市に本社を置くカヤックLivingは6月末、2日間にわたってオンライン上で全国の地方自治体と移住希望者を結ぶイベント「みんなの移住フェス2020オンライン」を開催した。北海道名寄市、岡山県真庭市、高知県など各地の自治体が設けた相談室に移住希望者が入り、オンライン会議アプリのZoom(ズーム)を使って面談する仕組みだ。

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6月26日、27日に開催された「みんなの移住フェス2020オンライン」
(出典:カヤックLiving 報道発表資料)

 初日約30、2日目約60の自治体が相談室を設けたが、参加者は延べ約6500人。20代の若い世代が中心で、40代前半の子育て世代までで大半を占めた。カヤックLivingが過去に開いたイベントの参加者はおおむね200~400人程度だっただけに、かつてない規模となった。

 移住希望者の増加はスマウトの新規登録者数にも表れている。2018年のサービス開始以来、1カ月当たりの登録者数は2020年4月まで600~700人程度で推移してきた。しかし、5月は1085人と初めて1000人の大台を突破、6月は約1500人まで増えた。

 梶さんは「もともと移住を考えていた人が新型コロナの感染拡大で背中を押されるとともに、テレワークを経験したことにより、考え方を変えた若い世代が増えたのではないか」と感じている。


移住希望は中高年ら他の年代にも

 移住希望者の増加は若い世代以外にも広がっている。大阪市中央区本町橋にあるNPO法人ふるさと回帰支援センターの大阪ふるさと暮らし情報センターは、主に面談方式で移住相談に応じてきた。このため、若い世代だけでなく、中高年を含めた幅広い年代の人が訪れている。

 以前は予約せずにやってくる相談者が少なくなかったが、緊急事態宣言で一時休業していた施設を再開したあとは、予約して来所する人が目立って増加したのが特徴だ。山口勝己所長は「正確な数字を取ったわけではないが、移住希望者自体も増えているように感じる」という。

 情報センターの本格的な稼働は7月からで、11日に三重、岡山、徳島3県の相談会、9月にはより大規模なイベントを開催する。オンラインで地方と結び、現地に移住した先輩の生の声を聞くなどイベント内容にも工夫を凝らす方針だ。

 東京都千代田区有楽町のふるさと回帰支援センターも傾向は同じ。首都圏は依然、新型コロナ感染者が増えているが、移住相談は減っていない。緊急事態宣言の解除後は首都圏から近い長野県や北関東に目を向ける移住希望者が目立つ。

 高橋公理事長は「若い世代を中心に移住への関心が高まってきた。今後、希望者が右肩上がりで増えそうだ」とみている。

【次ページ】東京23区の20代、35.4%が移住への関心アップ

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