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  • 2020/08/31

iPaaSとは何か? 製品や事例を含めてわかりやすく解説、クラウド連携のポイント

メルカリやアシックスらも取り組む

企業が情報システムをクラウドにシフトする動きが本格化してきた。特に、インフラをサービスとして提供するIaaS(Infrastructure as a Service)、ソフトウェアのSaaS(Software as a Service)、開発基盤などのPaaS(Platform as a Service)の3つは、クラウドの代表的な分類として知られている。ここに新たな選択肢として注目を集めているのが「iPaaS(Integration Platform as a Service:アイパース)」だ。iPaaSとはいったい何なのか、どんなメリットがあるのか。メルカリやアシックスらの導入事例などからひも解いていこう。

友永 慎哉

友永 慎哉

製造業向け基幹系システムの開発を経験後、企業ITの編集、ライター業に従事。ファイナンス、サプライチェーンなど企業経営の知識を軸にした執筆に強みを持つ。インダストリー4.0など新たな技術による製造業の世界的な変革や、Systems of Records(SoR)からSystems of Engagement(SoE)への移行、情報システムのクラウドシフトなどに注目する。GAFAなど巨大IT企業が金融、流通小売り、サービスといった既存の枠組みを塗り替えるなど、テクノロジーが主導する産業の変化について情報を収集・発信している。

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iPaaSを活用することで、クラウドのメリットを引き出すことができる
(Photo/Getty Images)

iPaaSとはいったい何か?

 企業のクラウド活用において、iPaaS(Integration Platform as a Service)が急速に注目を集めつつある。iPaaSとは、組織内外にあるオンプレミスシステムとクラウドベースのシステムを組み合わせ、統合したフローを開発し、実行、管理するためのクラウドサービスのこと。

 単純なイメージでは「Salesforce.comの受注情報をSlackのカレンダーに通知する」など、システム間のデータの橋渡しをする機能である。聞くと簡単そうでも、この橋渡しでつまづくシステム構築プロジェクトは多い。

 さまざまな種類のSaaSを企業が活用するようになったことで、複数のSaaS間でデータを連携する必要が出てきていることが背景にある。主にオンプレミスにおける複数システム間のデータ連携に用いられていたESB(Enterprise Service Bus)に近いが、iPaaSはよりSaaS間の連携を意識している点で違いがある。

 iPaaS製品・サービスを手掛けるベンダーについては、IT調査会社のガートナーがMagic Quadrantとして公表している。それによると、Informatica、Dell Boomi、Workato、Jitterbit、MuleSoft、SnapLogic、Oracle、Microsoftがリーダーとして位置づけられている。

iPaaSの主要ベンダー・主要サービス名
ベンダー名 主要サービス名
Informatica Informatica Intelligent Cloud Services
Dell Boomi Boomi AtomSphere
Workato Workato
Jitterbit Jitterbit iPaaS
MuleSoft Anypoint Platform
SnapLogic Enterprise Integration Cloud
Oracle Oracle Integration Cloud Service
Microsoft Azure Logic Apps
(ビジネス+IT編集部調べ)

 次々に登場するSaaSをうまく活用したいというニーズは強いものの、既存のオンプレミスシステムとのスムーズな統合の実現に苦労しているのが実情である。また、統合には手間だけでなく、人件費を含めたコストがかかる。そのため、連携に特化した第三者の機能であるiPaaSに頼るケースが増えている。

 また、連携を自動化するという意味でRPA(Robotic Process Automation)と同様のニーズをカバーすることもあるが、RPAはUIを変更すると停止してしまうことが課題になっている。その欠点を補うために、iPaaSを使ってクラウド間の連携を進めるというニーズも出てきている。

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iPaaSはSaaS、プライベートクラウドなどのクラウドシステム、オンプレミスを統合的に連携する



iPaaSのメリット、デメリット

■メリット

・過去データの活用
 iPaaSのメリットはいくつかに分けられる。1つは、過去データの有効活用である。長年にわたり運用していたオンプレミスシステムには、膨大なデータが存在している。クラウド化の波が来たものの、企業の財産とも言えるデータを捨てるわけにはいかない。ここで、オンプレミスからクラウドへとデータを自動で受け渡ることで、過去のデータを事業に生かすための基盤がiPaaSなのである。

・複雑なシステム間連携を簡素化する
 基幹システムなど古いシステムは、新たなアプリケーションやクラウドベースとの連携のために、アドオン開発が必要になるなど運用が煩雑になる傾向がある。ここでiPaaSは、複数の異なるシステム間をつなぐ頼れる仲介人として機能する。iPaaSが「1人」いれば、複雑化するシステムを上手につなぎ、ビジネスを支えるシステムを円滑にしてくれるのである。

 たとえば、製品を受注し、製造、販売するまでには、購買、生産、在庫、販売などの各管理システムがデータを連携する必要がある。この連携がスムーズになると、業務がうまく回り出すということは想像に難くないだろう。

■デメリット

 iPaaSにもデメリットはある。それはシステム間を連携する際に、公開されたAPIの存在に依存していることである。最近のウェブ系のサービスの多くが公開されたAPIを活用したものになっている。

 たとえば、金融機関がAPIを公開することで、新たなFinTech系のサービスが提供するアプリなどを通じて、複数の金融機関に散在する自分の預金残高を参照できるといった機能が使えるようになる。2017年5月の日銀法改正で、金融機関へのAPI公開が推奨されたことなどを背景に、FinTech系サービスが普及したという事情もある。

 しかしながら、APIを公開することにメリットがないと判断する関係者が社内外にいればAPIは公開されず、情報を取得することができなくなってしまう。また、APIを呼び出す際にゲートウェイ機能が必須になるなど、ITやネットワーク、認証などセキュリティ面の準備も必要になってくる。

【次ページ】導入事例から見えてきたiPaaSの実態

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