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  • 2021/05/14 掲載

なぜダメな上司は「部下を信じてとことん任せる」ができないのか

連載:部下を「育てない」マネジメント術

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「部下に任せるよりも、自分でやってしまったほうが早い」日々仕事をするなかで、このように思ったことのある人はいないだろうか? 優秀なマネージャーほど、陥りがちな思考パターンと言えるだろう。新刊『部下を育ててはいけない』を執筆した田端信太郎さんは、「自分でやったほうが早い病」のリーダーに喝を入れている。上司が自分の手を動かすよりも、結局のところは部下を「信じて任せる」ほうが、チームの成果を上げるうえでは効果的だという。その心得を語ってもらった。

田端 信太郎

田端 信太郎

オンラインサロン「田端大学」塾長。1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン「R25」を立ち上げる。2005年、ライブドア入社、livedoorニュースを統括。2010年からコンデナスト・デジタルでVOGUE、GQ JAPAN、WIREDなどのWebサイトとデジタルマガジンの収益化を推進。2012年NHN Japan(現LINE)執行役員に就任。その後、上級執行役員として法人ビジネスを担当し、2018年2月末に同社を退社。その後、ZOZO コミュニケーションデザイン室長に就任。2019年12月退任を発表。

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「部下に任せる」ことができない人には理由がある
(Photo/Getty Images)


上司が細かく指示を出すほど自分で考えなくなる

 まず大前提として、田端さんが考える「上司の仕事とは何か?」だが、それはマイクロマネジメント的に部下に細かく指示を出したり指導したりすることではなく、期待された「成果」を出すために部下の力を引き出すことであり、そのために「最終的な責任を取る」ことにある。

 田端さんによると、上司が部下に仕事を「任せ切る」ことができず、細かく指示を出したり、途中、何度も報告を求めたりするのは、成果を上げたいのはもちろんだが、一番の理由は部下を「信じ切れていない」ことにある。

 部下を育てたいのか、自分が楽をしたいのかは別にして、部下に仕事を任せてはみたものの、心の中では「こいつ本当に大丈夫か」「失敗するんじゃないだろうか」と不安を感じており、だからこそ部下の仕事の進捗状況などを細々と管理しようとする。

 もしかしたら「失敗をさせたくない」という親心もほんの少しはあるのかもしれないが、管理される部下はついこんな気持ちになってしまう。

「そんなにごちゃごちゃ細かいことを言うんだったら自分でやればいいじゃないか」

 上司が細かく指示を出し、管理すればするほど、部下は自分で考えたり、自分の責任で行動しなくなる。上司として部下のために「良かれ」と思ってやっているつもりが逆の結果を招くことになる。

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部下のために「良かれ」と思ってやっていることが逆の結果を招く
(Photo/Getty Images)

部下を信じてとことん任せる

 「上司が部下を信頼して任せる」ことの凄さを田端さんはリクルート時代に体験している。田端さんのリクルート時代の上司・田中耕介さんは、部下である田端さんに決裁印を預けていたという。決裁印というのは、その案件にGOサインを出すもので、今のご時世ではそれを部下に渡すのは問題だが、意思決定のスピードはそれ自体が武器になる。

 田中さんが週に2、3回しか出社せず、それも1時間半くらいしか席にいなかったということもあるのだろうが、その言葉は「好きにやっていいよ」というよりも、「俺の気持ちになって押してくれよ」という信頼の証であり、「責任を持って行動しろ」という意味でもあった。

 だから田端さんも上司だった時には、稟議書など「あいつから来るものならまず間違いない」と信頼している部下に関しては、ほぼノールックでハンコを押していたという。

 こんな上司に対して、「上司としての責任放棄だ」と非難する人もいるかもしれないが、田中さんの場合は部下を信頼してすべてを任せたうえで、「何かあれば俺が責任を取る」という姿勢も一貫していたので、その意味では「信頼をベースにした権限移譲」と言うことができる。

 そしてここまで信頼されると、田端さんも含めて部下は「こんなに信頼してくれているんだから、自分たちががんばらないと」となるものだ。

 部下を信じてとことん任せるというのは、「マネジメントとは部下を管理すること」と考える上司にとって何とも怖いことだが、実は「コスパ最強」のマネジメントと言い切れる。

【次ページ】「とことん任せる」ことができない、たった1つの理由

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