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  • 2022/01/05

いま大都市より地方が「MaaS」に取り組むべき理由、日本各地を巡って確信した絶好機

連載:MaaS時代の明日の都市

新型コロナウイルス感染症によって、地方の公共交通は大きな打撃を受けた。その一方で運転免許返納や地方移住など、地域交通の後押しになりそうな動きもある。すでにいくつかの自治体はアフターコロナを見据えて、MaaSを含めた交通改革に動きはじめている。そうした地域を訪ねた筆者が、いまが地域交通改革の絶好機だと確信する理由を解説しよう。

モビリティジャーナリスト 森口 将之

モビリティジャーナリスト 森口 将之

1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、出版社編集部を経て1993年にフリーランスジャーナリストとして独立。国内外の交通事情・都市事情を取材し、雑誌・テレビ、ラジオ・インターネット・講演などで発表。2011年には株式会社モビリシティを設立し、モビリティやまちづくりの問題解決のためのリサーチ、コンサルティングを担当する。著書に『MaaSが地方を変える 地域交通を持続可能にする方法』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『富山から拡がる交通革命』『パリ流環境社会への挑戦』など。

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日本初の本格的LRTとして知られる富山港線。写真中央の建物は、ガラス美術館と市立中央図書館が入る「TOYAMAキラリ」
(写真:筆者撮影)


世界の交通事情を動かしたコロナ禍

 いきなり私ごとで恐縮だが、新型コロナウイルスは、自分の仕事にもさまざまな影響を与えた。なによりも大きかったのは海外へ行かなくなったことだ。なのでMaaSをはじめとする海外の交通改革の情報は、あまり入ってこなくなった。


 そもそも欧米では、日常的な移動にまで制限をかけるロックダウンが主流だったこともあり、MaaSどころではなかったことも事実である。その代わり彼らは別の視点で、ウィズコロナの新しい生活様式を実践していた。

 ソーシャルディスタンス確保のために車道の一部を歩行者空間に転換したり、公共交通を避けて移動したい人たちのために自転車レーンを整備したりというニュースが主役になっていた。

 日本国内でも、ロックダウンこそなかったが外出自粛が叫ばれ続けたこともあり、外出機会が激減した。その結果、公共交通が大きな打撃を受けているという話が伝わってくるようになった。この件については2020年12月、路線バスの窮状に焦点を絞った記事を書かせていただいた。


地域交通に吹き始めた追い風

 ところがその後、仕事で地方に出かけると、東京ほどはコロナの影響は受けておらず、感染に気をつけながら日々の生活を営む、ウィズコロナの生活が軌道に乗りつつあると感じた。

 筆者は2019年から、長野県に本社を置く企業のMaaS事業参入に際し、アドバイザーを務めることになった。長野県での緊急事態宣言は、全都道府県に発令された2020年4月16日から5月13日までに限られた。その後も県独自の対策はいろいろ行っていたが、小学校に通学する児童の姿を見ることができるなど、コロナ前の状況に近づいていることを実感した。

 地方の公共交通はコロナ禍前から厳しい状況にあった。人口減少によって利用者が減り、それに対応して減便や廃止が相次いだことで、多くの人がマイカー移動を選ぶようになった。すると郊外にショッピングセンターが次々に出現し、中心市街地の商店街がシャッター通りになっていった。「負のスパイラル」と言える状況だった。

 しかしながら地域交通には、負の要素しかないわけではない。多くの地方では大都市より高齢化が進んでいるが、2019年の東京池袋での高齢ドライバーによる死亡事故などが契機になり、運転免許を返納しようという人が増え、返納後の足を確保することが急務になった。

 さらにコロナ禍では、東京などから地方に移住する流れが明確になった。長野県の資料によれば、2020年1月から12月までの間に人口が増加した自治体は、軽井沢町や川上村など10近くに上っているのだ。


 東京などの都心に住み続けている人は、公共交通での移動に慣れている。当然ながら移住に際しては、マイカー購入を考えるであろうが、以前から住んでいる人よりも、公共交通を重視する人は多いはずである。こうした状況から筆者は、いまこそ地域交通を改革する好機と感じるようになった。

【次ページ】好機と言えど、地方MaaSは何からすべき?

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