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  • 2020/03/12

MaaS(マース)とは? 移動の何が変わるのか、目的やメリットをわかりやすく解説

新連載:MaaS時代の明日の都市

日本でも2年ほど前からビジネスシーンを中心に話題になっているMaaS(マース:Mobility as a service)。しかし、ちょっと曖昧な語源のためもあり、誤解している人も多いようだ。さまざまな業界の当たり前を変える可能性を持つ、MaaSの真の意味をもう一度確かめておきたい。世界に先駆けてMaaSという概念を提唱したフィンランドを訪れ、昨年『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』をまとめた筆者の経験から、MaaSはいったいどういう概念で、交通をどう変えるのか、どんな効果が得られるのかを解説する。

モビリティジャーナリスト 森口 将之

モビリティジャーナリスト 森口 将之

1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、出版社編集部を経て1993年にフリーランスジャーナリストとして独立。国内外の交通事情・都市事情を取材し、雑誌・テレビ、ラジオ・インターネット・講演などで発表。2011年には株式会社モビリシティを設立し、モビリティやまちづくりの問題解決のためのリサーチ、コンサルティングを担当する。著書に『パリ流環境社会への挑戦』『富山から拡がる交通革命』『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』など。

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MaaS発祥の地フィンランド
(写真:筆者撮影)

MaaS(マース)とは

 MaaS(マース)とはモビリティ・アズ・ア・サービスの略であり、直訳すれば「サービスとしてのモビリティ」となる。IT業界で使われるIaaSやSaaSに影響を受けて生まれたことは明白だ。とはいえ、「サービスとしてのモビリティ」という表現は漠然としている。既存の鉄道やバスも、サービスとしてのモビリティではあるが、MaaSは何が革新的なのだろうか?

 2015年にフランスのボルドーで行われたITS世界会議で結成された「MaaSアライアンス」という組織では、以下のように定義している。

「さまざまな形態の輸送サービスを統合した、オンデマンドでアクセス可能な単一のモビリティサービスとしており、MaaSオペレーターは利用者の要求を満たすべく、公共交通、ライドシェア、カーシェア、自動車シェア、タクシー、レンタカーなどさまざまな交通手段のメニューを用意すること」

 簡潔にいうと、MaaSとは「ICT(情報通信技術)を活用してマイカー以外の移動をシームレスにつなぐ」という概念だ。

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MaaSの概念図。現在は、電車、バス、タクシーなどそれぞれの交通サービスに個別で経路検索や支払いを行っている。MaaS社会では、1つのアプリで各交通サービスの経路検索や支払いが一括でできるようになる
(出典:編集部作成)

 筆者は最近講演などで、MaaSは“オーケストラのようなもの”と紹介することが多い。オーケストラはバイオリンやクラリネットなど、個性的な音を出す多彩な楽器が演奏者とともに集まる。もちろん単体でも音楽を奏でることはできる。しかし作曲家によって異なる音が1つの旋律に編み込まれ、指揮者のタクトに従い一緒に演奏されることで、ソロとはまったく違う音となり、私たちを感動させてくれる。

 オーケストラも、素晴らしい音楽を聴衆に届けるという点では1種のサービスであり、多彩な楽器を統合することにより新たな芸術を生み出しているという点が、MaaSに通じると思っているのである。

 ここで見誤らないでほしいのは、他のサービスと同様にMaaSも導入すること自体が目的ではないということだ。本来の目的を理解してこそ、その利点が生きてくる。以下でMaaSが生まれた背景とともに、本来の目的を解説する。


MaaSはなぜ生まれた?

 MaaSは北欧フィンランドで生まれた。「MaaSの父」と呼ばれるサンポ・ヒエタネン氏が2006年に発案したアイデアをベースにしており、2014年に概念を発表。翌年、首都ヘルシンキで設立されたMaaS Global社から送り出されたスマートフォンアプリ「Whim」がパイオニアと言われている。

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「Whim」のアプリ画面
(写真:筆者撮影)

 MaaSという呼び名は、この過程で2012年に当時の運輸大臣が立ち上げたクラブで生まれた。ヒエタネン氏は現在、MaaS Global社のCEOを務めている。MaaSはヒエタネン氏の構想を国がバックアップすることで実現に結びついた。国が後押しした理由としては、「環境対策」「産業振興」「交通改革」の3点があると考えている。それぞれ解説していこう。

【次ページ】「MaaSを推進する3つの理由」「日本のMaaSアプリ事例を紹介」「日本のMaaSはどうなる?」

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