物流の種類
メーカーが生産した商品は、工場を出発してからさまざまな過程を経て消費者の手に渡ります。この取引の流れは特に「流通(Distribution)」と呼ばれ、メーカーのビジネスにおいては「もの(Physical goods)」の移動を伴うことから「物的流通(Physical Distribution)」と呼ばれます。
物流には原材料や仕掛品を調達する内的物流(調達物流)と、商品を卸売業者や小売業者へ移動する外的物流(販売物流)、消費者に届ける物流(消費者物流)があります。また、製造から保管、販売への流れを動脈物流、余剰在庫や不良品などが返却される流れを静脈物流(回収物流)と呼びます。
多くの企業や部門が関わるという複雑性も1つの特徴と言えるでしょう。2020年の緊急事態宣言時には、首都圏を中心に一部の小売店が休業しました。これらを取引先とするビジネスでは、物流部門だけでなく、取引先と休業に関する情報を確認する営業部門、販促物の手配スケジュールを変更するマーケティング部門、需要予測をリバイスするSCM部門などが協働することが必要になりました。また、メーカーだけでなく、配送を担う物流会社とのコミュニケーションも重要でした。
物流の6つの基本機能
物流機能は、次の6つに整理できます(図表1)。
- (1)輸配送(Transportation/Delivery)
- (2)保管(Storage)
- (3)包装 (Packaging)
- (4)荷役(materials handling)
- (5)流通加工(Distribution processing)
- (6)情報処理(Logistics information system)
(1)輸配送とは、「もの」を運ぶ機能です。最も想像しやすい物流の機能と言えるでしょう。(2)保管も重要な機能です。製造したものを運んで、すぐに売れるわけではなく、一定期間は品質を劣化させずに保持しておかなければなりません。品質を劣化させないためには、商品を(3)包装しておくことが有効です。それらを段ボールやオリコン(折りたたみコンテナ)などに入れ、倉庫に保管する場合が多いと言えます。
保管している商品は、取引先からの発注に合わせ、出荷します。商品の保管からピッキング、出荷で必要となる作業を(4)荷役と言います。この流通の過程で、商品に加工する場合があります。値札付けや総菜の調理などが想像しやすい例です。これも物流機能の1つで、(5)流通加工と呼びます。
こうした物流のさまざまな活動は、情報でマネジメントすることが有効です。製造した商品や保管されている在庫は何個あるのか、小売店からの発注はいくつかといった情報は売り上げや利益に影響するものであり、正確に管理しなければなりません。この(6)情報処理も物流の重要な一機能です。
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