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  • 2022/07/11 掲載

イーロン・マスクが証明、“破壊的”インパクトを与える「マルチスキル」習得のススメ

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キャリアは、大きく2つのタイプに分類できる。1つは専門性の高いスキルを備えたスペシャリスト的な「レール型キャリア」、もう1つが複数領域のスキルを兼ね備えたジェネラリスト的な「ロッククライミング型キャリア」だ。どちらも社会や企業で活躍するために必要なキャリアの歩み方だが、現代において後者のキャリアを歩む人材が時代を大きく動かしている。その代表例がイーロン・マスクだ。テスラのEVで自動車業界に大きな変革をもたらしたイーロン・マスクを例に挙げながら、ロッククライミング型人材がいかに社会的インパクトを与えることができるかについて解説する。

執筆:MBAエンジニア/Tech系YouTuber 倉嶌 洋輔

執筆:MBAエンジニア/Tech系YouTuber 倉嶌 洋輔

AI時代のキャリア生存戦略』著者。1985年生まれ。大学卒業後、ワークスアプリケーションズに入社し、エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、転職し、スマホアプリのエンジニアやSEとなり、Tech領域の知見を広げる。MBA通学を機にビジネス系の知見を広げ、2017年に「テクノロジー×ビジネス」のマルチスキルを活かし、コンサルタントとして独立。法人向けに、グルメレビューサービス企業や東大系AIベンチャー、ゼネコン企業等をクライアントにしたコンサルタントとしての活動をしながら、一般向けにはYouTubeやUdemyを通して「ビジネスで使えるTech系リテラシー」を育てるための情報発信を行っている。

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なぜイーロン・マスクはテスラのEVで自動車業界に変革をもたらすことができたのか。その理由がキャリアの歩み方を見ればわかる
(写真:AFP/アフロ)

「レール型」「ロッククライミング型」のキャリアとは?

 いま歩んでいるあなたのキャリアは、「専門性の高いスペシャリスト」と「領域横断的なジェネラリスト」のどちらだろうか。それぞれを言い換えると「単能工」と「多能工」という言葉になる。つまり、専門的なシングルスキルか、横断的なマルチスキルかということだ。

 スペシャリストは、同じ企業や業界で働き続けることでその特定領域のノウハウや知識、経験を蓄積することができる。それらがたまれば、ほかの人にはできない専門的な仕事を任されたり、仕事の進め方を熟知して仕事の効率をさらに上げたりすることが可能だ。このように専門領域を深化させていくスペシャリストとしてのキャリアを、すでにあるレールに沿って電車が前に進むことにたとえて「レール型キャリア」と呼ぶ。

 これとは別にジェネラリストの場合は、社内の畑違いの部署で経験を積んだり、業界・業種をまたいだ転職をしたり、複数分野に精通した状態になった人材を指す。転属や転職をした際は未経験からのスタートとなるが、あらゆる領域で積んだスキル・経験を組み合わせることで、スペシャリストとは異なる発想や方法で仕事を進めることができる。

 このキャリアの歩み方は、決まったレールをたどるのではなく、新しい道(方法)を見つけながら仕事を進めていくことが特徴だ。このキャリアのことを、手や足のかかる石を見つけながら岩壁を登っていくロッククライミングにたとえて「ロッククライミング型キャリア」と呼ぶ。

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複数のスキルを身に付けるロッククライミング型キャリアの人材がいま時代を大きく動かしている
(Photo/Getty Images)

 複数のスキルを身に付けることで、将来進むことのできる進路の数を増やしたり、仕事をより効率的に進める方法の発見、今までにないサービスの開発などにつなげることができる。筆者の経験からも実感していることだが、2人分の仕事をこなせるようになり、収入も上がりやすくなる。

 ただし、メリットばかりではない。マルチスキルは「広く浅く」になりがちなため、スキルの組み合わせが仕事に役立たない可能性もあり、キャリアにつまずくリスクを伴ってしまう。

 しかし、このロッククライミング型の人材が今、時代を動かしている。その代表例がイーロン・マスクだ。

「イーロン・マスク」が自動車業界を変革できた理由とは

 イーロン・マスクは元々ソフトウェア領域で頭角を現し、Zip2やPayPalを立ち上げるなど若くして成功を収めた。注目したいのは、EV専業メーカーのテスラで、ハードウェアの自動車業界にソフトウェアの考え方やノウハウ、スキルを持ち込み、大きな変革を起こしている点だ。


 一般的な自動車は発売時点が最新で、年式が古くなるにつれて機能が追加された新車の登場により、過去の自動車製品は徐々に価値を失っていく。「時がたつにつれて、あらゆる商品は必ず陳腐化する」(マーケティングの巨匠で元ハーバードビジネススクール教授のセオドア・レビット氏)という言葉の通りだ。しかし、テスラの車両はややこの法則に反している。

 テスラのEVはOTA(Over the Air)という無線通信でソフトウェアを更新する仕組みを採用しており、定期的にEVへ新機能を届けている。アップデートした新機能の例としては、次のようなものがある。

  • キャンプ中に、電源/空調/音響のみアクティブになるキャンプモード機能
  • 車のロックがかかる際、もし窓が開いていれば自動で閉めてくれる機能
  • ブレーキ時の発電効率を上げることで走行距離が伸びる性能向上の機能

 このOTAを使った過去のニュースを見ると、イーロン・マスクによる変革がよくわかるので紹介しよう。

 2017年にハリケーン・イルマが米国を襲った際、ハリケーンの進路上にいるテスラEVを対象に、OTAを使って、1回の充電当たりの最大走行距離を一時的に伸ばすアップデートを配信した。「購入した時よりも走行距離が伸びる」と言うと不思議に感じるが、これには理由がある。

 実は、どのEVにも同じ走行距離のバッテリーを搭載して製造しており、購入者の要望に応じながら、充電1回当たりの走行距離をソフトウェアで制限していたのだ。そのため、納車後に追加費用を払えば制限を解除し、距離を伸ばすこともできる。

 (時期や地域によっても異なるが)テスラでは、フルスペックのハードウェア(車体やバッテリー、部品など)を備えたEVを大量生産し、ソフトウェアでハードウェアの機能を制限する仕組みを取り入れている。ハリケーンの際も一時的に制限を解除して、本来のスペックに戻しただけなのである。

 ハードウェアとソフトウェアの考え方を融合させたもう1つの事例を紹介する。

【次ページ】破壊的インパクトを与える「マルチスキル」のススメ

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