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  • 2015/09/16 掲載

化学業界の世界ランキング2015:三菱ケミカル、住友化学、三井化学は世界とどう戦うのか

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化学工業を主導してきたのは、独BASF、米ダウ・ケミカルなど化学先進国である欧米の大手総合化学メーカーだ。しかし、ボリュームの大きい石油化学の分野では、中国やサウジアラビアなどの新興勢力も台頭してきている。今後は、欧米メーカーを主軸として、機能化学品の開発といった“質の競争”が激化する一方、新興国メーカーを主として、汎用化学品の低コスト生産といった“量の競争”もヒートアップするだろう。三菱ケミカルなどの日本の大手化学メーカーはこれにどう対抗していくのか。
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生活のありとあらゆるシーンに化学製品は浸透している
(Photo by カシス/Fotolia)

石油化学の登場で化学工業は飛躍的に発展

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 皆さんも、学生時代の理科の授業で、ある物質に熱や電気、触媒などを加えると、別の物質に変化する「化学」の実験を行ったことがあるのではないだろうか。そうした物質のさまざまな特性を利用し、化学反応によって原料から製品を作り出すのが化学工業だ。

 化学工業の歴史は古く、人類が火を使って鉄、銅などを精錬するようになった時代に始まる。近代の化学工業は18世紀、欧州で起こった産業革命によって勃興する。大量生産された綿織物を効率的に漂白するため、アルカリ性のソーダや塩素が化学工業によって大量に作られるようになったのだ。

 19世紀に入ると、天然染料に代わる合成染料が発明され、20世紀には、空気中の窒素の固定法がわかったことで、化学肥料が誕生した。さらに、米国では豊富に採掘される石油を原料として、石油化学工業が盛んになった。第二次世界大戦後、石油化学・高分子化学工業からは、化学繊維、合成ゴム、プラスチックなどが次々と生み出され、世界中に普及していった。それによって、化学工業は飛躍的な発展を遂げることになったのだ。

 現在、私たちの生活のありとあらゆるシーンに、化学製品は浸透している。化学製品は、最終化学品の原材料となる基礎化学品(エチレン・ベンゼン・硫酸・苛性ソーダなど)・中間化学品(有機化学品・無機化学品など)、最終化学品に大別される。最終化学品だけでも、塗料やインキ、タイヤ、接着剤、洗剤、農薬、殺虫剤、医薬品、化粧品、食品添加物、香料など、枚挙にいとまがない。

 たとえば、ガラスやセメント、LED(発光ダイオード)なども、広い意味では化学製品に入る。それだけ裾野が広い産業なのだ。日本では、化学工業は、自動車やエレクトロニクスに匹敵するほどの産業規模となっている。

 化学メーカーを、生産段階のヨコのラインで見ると、大半は基礎化学品・中間化学品の専業メーカー(巨大な生産設備を擁する大企業が多い)、最終化学品の専業メーカーに分かれるが、中には、石油などの原料調達から最終化学品の製造までをフォローする化学メーカーもある。また、ジャンル別のタテのラインで見ると、塗料や医薬品、化粧品、香料など数多くの専業メーカーがある一方、洗剤や医薬品、化粧品といった具合に、さまざまなジャンルの化学製品を手がける総合化学メーカーもある。

合従連衡を繰り返して巨大化する欧米の化学メーカー

 化学メーカーのグローバルランキングは、以下のとおりだ。

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化学業界の世界ランキング2015

 米国勢を筆頭に、化学先進国である欧米のメーカーが主流を占めているのがわかる。また、石油メジャーをはじめ、アジアや中東の石油化学メーカーも目立つ。化学工業の発展をリードしてきた石油化学工業は1970年代以降、成熟期に入ったが、化学製品の多くがいまだに原料を石油に依存しているため、現在でも、化学工業の中でボリュームの大きなジャンルとなっているからだ。

 化学部門売上高の世界第1位はBASFである。1865年にドイツのバーデン地方で創業した老舗で、合成染料やソーダの製造から出発した。ちなみに、社名は、ドイツ語の「バーデン」「アニリン(合成染料の原料)」「ソーダ」「工場」のイニシャルからとったものだ。

 ドイツを代表する総合化学メーカーとして知られ、世界40カ国以上に生産拠点がある。無機化学や建材、石油化学、触媒化学などに強く、欧州やロシアでは、原油・天然ガスの採掘も行っている。化学品の研究開発から製造までを一貫して行う巨大生産基地「フェアブント」にも特色がある。

 第2位のダウ・ケミカルは米国の総合化学メーカーである。1897年創業で、漂白剤メーカーとして出発、石油化学工業に参入して発展した。エポキシ樹脂やポリウレタン、エラストマーなどの機能性材料・プラスチックが主力。2001年にユニオンカーバイドを買収して以来、化学メーカーでは米国首位に躍り出た。食品包装材の「サランラップ」(日本では旭化成が生産)でも有名だ。

【次ページ】量産型の化学品は海外移転がますます加速

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