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  • 2022/11/10 掲載

ANA・JALが本気で目指すCO2ゼロ、2050年達成に必須の「次世代の航空機」はどう凄い?

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ANAやJALなどの航空業界は、コロナ禍で苦しい経営環境にいる中でもカーボンニュートラルの取り組みを加速させている。ANAはCO2を回収する技術(DAC)を活用するため、スイスのスタートアップ企業と提携。JALも11月18日に羽田-那覇線で、日本初となるCO2排出量実質ゼロでの運航を予定している。日本は2050年のカーボンニュートラルを目指しているが、航空業界ではどのような戦略で脱炭素化を実現していくのか。また現在開発が行われている「次世代の航空機」はどのようなものなのか。その動向を探ってみたい。

執筆:元技術系公務員ライター 和地 慎太郎(わち・しんたろう)

執筆:元技術系公務員ライター 和地 慎太郎(わち・しんたろう)

東北大学大学院応用化学修了後、大手製造業で電子材料などの製造開発に従事。その後、地方公務員の化学技術職として採用され、製造業者などさまざまな企業に対し、工場排水や廃棄物処理などの環境法令に関する実務を主に担当。公害防止管理者や廃棄物処理施設技術管理者などの国家資格を保有。2022年からフリーライターに転身し、環境ジャンルの専門性や、製造業と公務員のバックグラウンドを生かし、webメディアや企業サイトの記事などの執筆を行う。

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ANAやJALら航空業界は、どのようにカーボンニュートラルを実現していくのか
(出典:写真:Aviation Wire/アフロ)

ANAが掲げる、脱炭素への「4つの柱」

 ANAホールディングス(ANAHD)が脱炭素化に向けた新たな取り組みを進めるため、スイスのクライムワークスと提携した、と報じられた。クライムワークスは「DAC(ダック)」と呼ばれるCO2回収技術を世界で唯一実用化した企業であり、これまでマイクロソフトやAudiなどとの提携実績がある。日本企業との提携はANAが初めてとみられる。

 DACとは、Direct Air Captureの略であり、空気中にあるCO2を直接回収してCO2を削減する技術で、脱炭素化に向けて脚光を浴びている。このDAC技術で注目を集めるクライムワークスだが、同社は2017年にCO2を回収・利用する商用プラントを世界で初めて稼働。2021年9月には、アイスランドの地熱発電所近郊で世界最大のプラント「オルカ」を稼働させた。CO2抽出能力は年間最大4000トンあると言われている。

 一方、ANAはクライムワークスとの提携を通じて今後、クライムワークスが欧州で商用化するCO2回収プロジェクトへの出資を検討。将来的には、回収したCO2を航空燃料の原料として活用することを目指すという。

 提携した背景には、航空分野におけるグローバルな動向が関係しているようだ。国連の専門機関であり、日本が理事として加盟する国際民間航空機関(ICAO)は2010年の総会で、2020年以降は温室効果ガスの排出量を増加させないことを目標とした「CNG2020(Carbon Neutral Growth 2020)」を採択した。これにより、国際航空の燃費効率を、2021年から2050年まで毎年2%改善させる。

 さらに2016年の総会では「CORSIA(コルシア:国際民間航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム)」を採択。2021年から各運航会社は、定められたルールに沿って必要な排出枠を購入し、オフセットする義務が課された。

 こうした航空分野の情勢を受けて、ANAは脱炭素化への取り組みを加速させている。DAC技術の活用以外に、CO2排出量削減の取り組みとして以下の4つの柱を掲げている。

  • SAF(サフ:Sustainable Aviation Fuel)の活用
  • 航空機の技術革新
  • オペレーション上の改善
  • 排出権取引制度の活用

 柱の1つであるSAFとは、植物や廃棄物など化石燃料以外の原料から製造される航空燃料で、CO2排出量が少なく既存の航空機で使用できるのが特徴だ。

 ANAはSAFの活用を、脱炭素化への取り組みの中心に据えている。2011年にはユーグレナに出資し、その後NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトに参画して国産SAF製造の開発支援に携わってきた。2019年にはデリバリーフライトで排ガス原料のSAFを初めて使用。2020年には定期便にSAFを初めて使用し、それ以降、積極的にSAFの活用に取り組んでいる。

日本初、JALの「CO2排出量実質ゼロ」運航

 JALもSAFを活用した取り組みを進めている。11月18日には東京(羽田)-沖縄(那覇)線で、SAFを活用したCO2排出量実質ゼロの「サステナブルチャーターフライト」を運航。CO2排出量実質ゼロでの運航は日本で初めてという。

 このフライトでは、従来機と比較してCO2排出量を15~25%程度削減できる機体を使用する。SAFの搭載のほか、カーボン・オフセットを活用し、CO2排出量実質ゼロでのフライトを実現させる(図1)。

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図1:SAFやカーボン・オフセットを活用し、CO2排出量実質ゼロでのフライトを実現する
(出典:JAL リリース

 また運航だけでなく機内や空港、ツアーの中でもサステナブルな体験を盛り込み、搭乗者とサステナブルな取り組みを共有する。なお同社では、2030年までに全燃料搭載量の10%をSAFに置き換えることを目指しており、海外調達と合わせて国産の製造支援にも注力する予定だ。

 航空業界全体では、どのように取り組みが進められているのだろうか。ここからは業界を取り巻く状況や国の脱炭素政策、脱炭素を実現する未来の航空機について解説する。

【次ページ】赤字が続いたANAやJAL、政府はどう支援?

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