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  • 2022/03/03

ANA対JAL、始まった「空のMaaS」対決。追い込まれた二大エアラインに必要な改革とは

連載:MaaS時代の明日の都市

移動をシームレスにつなぐことを目指すMaaS(マース:Mobility as a Service)。観光地でのバスや電車など陸上交通の取り組みが目立つ中、JALが2月17日、「JAL MaaS」と名付けたMaaSの提供を開始した。ライバルのANAは、ひと足先にこの分野に参入しており、二大エアラインのMaaSがそろったことになる。両社は今後どのようなサービス展開をしていくのか、本稿では各社の特徴を整理する。コロナ禍で大打撃を受けた両社が、このMaaSへの取り組みを打開策とするためには、差別化競争に走る前にすべきことがある。

モビリティジャーナリスト 森口 将之

モビリティジャーナリスト 森口 将之

1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、出版社編集部を経て1993年にフリーランスジャーナリストとして独立。国内外の交通事情・都市事情を取材し、雑誌・テレビ、ラジオ・インターネット・講演などで発表。2011年には株式会社モビリシティを設立し、モビリティやまちづくりの問題解決のためのリサーチ、コンサルティングを担当する。著書に『MaaSが地方を変える 地域交通を持続可能にする方法』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『富山から拡がる交通革命』『パリ流環境社会への挑戦』など。

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ANA対JAL、二大エアラインのMaaS対決の行方は
(写真:筆者撮影)


先手ANAの始まりはユニバーサルMaaS

 MaaS(Mobility as a Service)という概念は当初、バスやタクシー、電車などの都市内の多様な陸上交通をアプリなどで1つに統合することを示していた。つまり、対象は陸上交通に限られるという認識だった。


 そんな中、エアラインでいち早くMaaS参入を表明したのがANA(全日本空輸)だった。2019年、社内の新サービス提案事業で高い評価を受けたものが原案で、「ユニバーサルMaaS」と名付けられた。

 総務省の統計によると、日本の65歳以上の高齢者の人口は、2021年9月の発表で総人口の29.1%に達している。ここになんらかの障がいがある人を合わせると、実に4割近くになる。最近はアクティブシニアも目立つようになったが、自分で思うように外出できず、外出のために他人の手を借りるのは申し訳ないと思う人、いわゆる移動躊躇層も多い。

 ANAではこの移動躊躇層に着目し、ユニバーサルデザインに基づく総合的な移動サービスとして、概念に共感した京浜急行電鉄、横浜国立大学、神奈川県横須賀市とともに、産官学共同プロジェクトをスタートさせたのだ。

 間もなくANAはMaaS推進部を新設すると、2020年の国土交通省「日本版MaaS推進・支援事業」に選定されたことを受け、迂回機能やサポート手配などのメニューを盛り込んだ「ユニバーサルお出かけアプリ」の開発や実証実験などを行った。実証実験パートナーは徐々に増えており、2022年2月末時点で30以上の企業・団体が参加している。


ひと足早く、経路検索から航空券予約をつないだANA

 さらにANAは2020年3月、健常者向けの「空港アクセスナビ」サービスも導入した。

 出発地から空港まで、空港から目的地までの経路情報を案内するもので、京成電鉄「スカイライナー」のチケット購入を可能としたほか、羽田空港アクセス鉄道の往復割引チケットやバス・タクシーの予約、東京の地下鉄全線乗り放題チケットなどの購入ができる。

 2021年にはこの空港アクセスナビを機能拡張し、出発地から目的地までの経路検索結果に基づきANAの予約が可能な新サービス「ANAそらたび検索」を開始した。そらたび検索でANAの航空券を予約し、予約画面から空港アクセスナビを起動させて、アクセス交通のチケット購入などを行う流れだ。

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「ANAそらたび検索」の操作画面

 空港アクセスナビの徒歩区間における「バリアフリー地図/ナビ」機能の運用もこの年に始めた。地図上に目的地までの最短経路に加えて、バリアフリー情報や過去に車いす利用者が走行したルートが表示されるもので、ユニバーサルMaaSの経験が盛り込まれたことになる。

 今年に入ってからも、2021年度日本版MaaS推進・支援事業選定を受け、山手線沿線から航空移動を含めた京阪神エリアを移動する車いす利用者を対象にした移動支援サービス、横須賀市で視覚障害者向け徒歩区間の安心・安全な自律的移動の実現を目指した移動サポートサービスの実証実験を行っている。

【次ページ】出遅れたものの、地上交通との連携に強みを持つJAL

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