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- 2023/02/21 掲載
テスラEVシェア65%…実は人気の秘訣が「充電設備」と言える“最大の強み2点”とは
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
テスラEV、大幅値下げのワケ
米国における2022年のEV販売は全販売台数の5.8%と、前年から2.6ポイント上昇した。一方で、テスラ車のシェアは2020年の79%から2021年には72%に下落し、2022年には65%にまで落ちている。これはテスラが進める高級ブランド戦略により、高い価格に設定していること、そして続々と登場する競合車のモデルが安価であることが大きい。2023年1月に打ち出した値下げ(日本では2車種で値下げ)は、シェア挽回を狙ったものであることに間違いない。

とは言え、テスラ車は米国で好評を博し、シェアでは依然としてライバルを大きく引き離す。差別化要因として、たとえば航続距離の優位、ワイヤレスOTA(Over The Air)アップデート提供によるリコールの少なさ、高い中古買い取り価格などが挙げられる。
中でもテスラが明確な卓越性を示せているのが、独自のEV充電規格であるスーパーチャージャーと、きめ細かな充電ステーションの配置だ。
テスラの充電施設は競合30社のうち「最高評価」
米国では現在、テスラを含むおよそ30社が充電ステーションを展開しており、その数は2022年11月初旬で5万6256カ所(そのうち公共利用できるものが5万2375カ所)とされる(ちなみにガソリンスタンドの数は全米で11万5000カ所ある)。テスラは2022年12月現在で、全米300以上の都市において合計1772カ所の充電ステーションを展開。およそ7000基のスーパーチャージャーがモデルS・モデルX・モデル3・モデルYのすべてに対応している。バイデン政権の補助金政策による後押しなどもあり、同社は2023年以降も充電ステーションの設置をさらに加速させる予定だ。
また同社は、量だけでなく質でも優位にある。2022年1月に掲載された充電ステーション比較サイトchargedevs.comの記事では、「テスラのスーパーチャージャーが、充電施設におけるエクスペリエンスで5点中4点と、最も高い評価を得た」と報じている。事実、この評価を分析してみると、「最先端」「高い信頼性」「利用が簡単」など、共通する称賛の形容詞が並んでいることに気づく。
では具体的に、ライバルと何が違うのだろうか。利便性や機能性、可用性(信頼性)、などの観点から見てみよう。
【次ページ】利便性・機能性・信頼性で見るテスラの「充電設備の強み」
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