- 会員限定
- 2023/11/21 掲載
大林組流「2024年問題」2つの越え方、「なんでも効率化」には反対なワケ
前編はこちら(※この記事は後編です)
「データドリブン」な教育施策で効果を上げていく
弊社ではDXという言葉が取り沙汰されるようになるはるか以前から、デジタル人材の育成に力を入れてきました。たとえば弊社はBIM(Building Information Modeling)に早くから取り組んできましたが、協力会社のBIM人材の育成を社内で実施してきました。具体的には、生産設計の協力会社人材に対してBIM留学という形で一定期間(通常1~3ヶ月間)社内にてBIMの概念から弊社SBS基準によるモデリング技術までを習得して頂いた後、最前線の工事現場に送り出すというということを持続的に行ってきました。こうした施策が功を奏して、その後のBIMの取り組みも極めてスムーズに運びました。
こうした背景もあって、DXについても人材の育成を極めて重要視しています。DX本部の中にデジタル教育課という教育に特化した部署を設けているのもその表れの1つです。具体的な教育施策としては、対面やオンラインによる研修が中心ですが、弊社ならではの特徴を挙げるとすれば「データドリブン」の手法を教育にも取り入れている点がユニークかもしれません。
デジタルを押し付けることはない、変われないものは去るのみ
研修の受講状況やサイトの閲覧状況などを適宜モニタリングしてデータ化することで、どういう年代の社員が何人受講して、どんな反応を示しているかといった点を可視化・分析しています。そしてその分析結果を基に、さらに多くの人に研修を受講してもらうための施策を検討するというPDCAサイクルを回し続けています。そのおかげで受講率は順調に伸び続けていて、中には700人近くも受講するようなオンライン研修も出てきました。
その一方で、社員に研修の受講を義務付けるようなことはしていません。年配の社員の中には精神論を振りかざしてデジタルを否定する者もいますが、そういう人にまで無理にデジタルを押し付けるつもりはありません。
たとえ、そうしたデジタル化に対しての抵抗勢力があったとしても、若い30代、40代の社員たちは自ら危機感を覚えて積極的に新しいことを学んでいます。こうして徐々に社内にデジタルが浸透してきてマジョリティになってくれば、自ずと抵抗勢力も少なくなっていくものと確信しています。
何にでも抵抗したり、否定したりすることは簡単なことですが、我々技術者は、常に世界潮流と業界動向、果ては、我々の業態の未来のあるべき姿を認識しておく必要があると思います。
しかしながら、セキュリティ教育だけは別です。これに関しては最後の1人まで必ず受講させるようにしています。 【次ページ】「2024年問題」を乗り越えるための2つの方法
関連コンテンツ
PR
PR
PR