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- 2023/10/28 掲載
購入してわかったMeta Quest 3の「凄すぎる」可能性、なぜVRにMRが必須だったのか
連載:根岸智幸のメタバースウォッチ
Quest 3がオフィスワークを変える
VR空間に正しく没入できるなら、どんな場所でも周囲に邪魔されずに仕事に集中できる。仮想の大型ディスプレイを複数使って生産性も上げられる。Jon Peddie Researchによれば、マルチディスプレイによって生産性は最大42%も向上するという(注1)が、場所や予算の制約で実現できない人もいるだろう。
コロナ禍で一般的になったリモートワークは、集中しやすい代わりに雑談など気軽なコミュニケーションが失われてしまう。一方でVR空間ならリモートワークをしながら出社に近いコワーキングも可能になる。
良いことばかりに思えるが普及しなかったのは、不便な点もあったからだ。VRで作業をする際、手元のキーボードやマウスが見えないのは、強いストレスとなる。近くの人と話をしたり、周りの状況を確認したりするのにヘッドセットを外すのも面倒だ。ソフトの信頼性も低かった。
しかし、Quest 3のカラーパススルー機能があれば、手元のキーボードをVR内に表示できるし、リアルとの切り替えも一瞬でできる。
筆者も普段利用しているキーボード(HHKB)とMagic TrackPadの組みあわせをそのままVRオフィスアプリ『Immersed』に持ち込むことができた。実際の業務でも使い始めている。本稿の校正もImmersedを使って行った。
新しもの好きのガジェット系YouTuberたちも、Immersedを使ったVR/MRオフィスワークを使い始め、実用レベルに達したことを異口同音に述べている。
時代はMRに向かっている
2022の秋にPICO 4とMeta Quest Proが発売されて以降、カラーパススルーとMRがVRヘッドセットのトレンドとなった。2023年に入ると4月にHTCから『VIVE XR Elite』が発売され、6月にはアップルから『Apple Vision Pro』が発表された。アップルのXRヘッドセット『Apple Vison Pro』は、両目で2300万画素という超高解像度のマイクロOLEDディスプレイを備え、3Dカメラ、M2+R1のデュアルチップを搭載するモンスター級のスペックが伝えられ、話題になった。
従来はVR、AR(拡張現実)、MRと用途別に分かれていた製品と技術は1つに収束しつつあり、Quest 3の登場はその流れを加速するファクターになりそうだ。
2016年にVRヘッドセットのOculus Riftと、マイクロソフトのMRヘッドセットのHoloLensが登場したとき、VRは個人向けのゲームに、MRは企業の生産現場にフォーカスしていて、技術的にもマーケット的にも別のものに見えた。
その後、スマホでSNOWやポケモンGOなどでカジュアルなARの利用が広まり、自動運転や映像制作のバーチャルプロダクションなど、カメラ映像の3次元世界を認識する技術、そこにCGを合成する技術が発展し、コンシューマー向けのハードウェアでも利用できるようになってきた。
こうしてみると、仮想世界をCGで構築するVRの技術と、現実世界にCGを違和感なく重ねて表示するARの技術をミックスして、VRを現実世界に持ち込んだものがMRだとも考えられる。
VRがMRに進化することで新しいコミュニケーションが可能になり、コワーキングやトレーニング、クリエイティブワークなど、ゲーム以外の領域で利用が広がってきたのは自明の理と言えよう。
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