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  • 2023/10/28 掲載

購入してわかったMeta Quest 3の「凄すぎる」可能性、なぜVRにMRが必須だったのか

連載:根岸智幸のメタバースウォッチ

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VRヘッドセット「Meta Quest 3(以下、Quest 3)」が10月10日に新たに発売された。その最大の特徴は、現実世界に仮想世界を重ねて一体化する「MR(Mixed Reality、複合現実)」に本格対応したこと。これにより、Quest 3が大幅に実用性や可能性を広げた領域がある。Quest 3を実際に購入して確かめた。

執筆:根岸 智幸

執筆:根岸 智幸

1963年生まれ。Webコンサルタント、プロデューサー、編集者、ライター、エンジニア。90年代のIT雑誌を皮切りにWebクチコミサイト、SNS、電子書籍出版システム、ニュースメディアのグロースなどで、時代を先取りしてきた。

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購入したMeta Quest 3で、VRオフィスとして人気が高い『Immersed』を無料モードで使ってみたところ。ホスト機のM2 MacBook Air標準のディスプレイ数は最大2枚だが、Immersedを使えば最大5枚のディスプレイを同時に使用できる

Quest 3がオフィスワークを変える

 VRを仕事に使うと言われてもピンとこない読者も多いだろうが、わかりやすいソリューションの1つにVR(仮想現実)オフィスがある。

 VR空間に正しく没入できるなら、どんな場所でも周囲に邪魔されずに仕事に集中できる。仮想の大型ディスプレイを複数使って生産性も上げられる。Jon Peddie Researchによれば、マルチディスプレイによって生産性は最大42%も向上するという(注1)が、場所や予算の制約で実現できない人もいるだろう。

注1:“The Multiple Display Market and Consumer Attitudes,” Jon Peddie Research, June 1, 2009, jonpeddie.com

 コロナ禍で一般的になったリモートワークは、集中しやすい代わりに雑談など気軽なコミュニケーションが失われてしまう。一方でVR空間ならリモートワークをしながら出社に近いコワーキングも可能になる。

 良いことばかりに思えるが普及しなかったのは、不便な点もあったからだ。VRで作業をする際、手元のキーボードやマウスが見えないのは、強いストレスとなる。近くの人と話をしたり、周りの状況を確認したりするのにヘッドセットを外すのも面倒だ。ソフトの信頼性も低かった。

 しかし、Quest 3のカラーパススルー機能があれば、手元のキーボードをVR内に表示できるし、リアルとの切り替えも一瞬でできる。

 筆者も普段利用しているキーボード(HHKB)とMagic TrackPadの組みあわせをそのままVRオフィスアプリ『Immersed』に持ち込むことができた。実際の業務でも使い始めている。本稿の校正もImmersedを使って行った。

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ImmersedのVRオフィスに自分のキーボードやマウス、トラックパッドを持ち込むには、パススルー機能で現物を見ながらコントローラーで机の上の矩形を指定する。もちろん、キータイピング中の自分の指も見える

 新しもの好きのガジェット系YouTuberたちも、Immersedを使ったVR/MRオフィスワークを使い始め、実用レベルに達したことを異口同音に述べている。

時代はMRに向かっている

 2022の秋にPICO 4とMeta Quest Proが発売されて以降、カラーパススルーとMRがVRヘッドセットのトレンドとなった。2023年に入ると4月にHTCから『VIVE XR Elite』が発売され、6月にはアップルから『Apple Vision Pro』が発表された。


 アップルのXRヘッドセット『Apple Vison Pro』は、両目で2300万画素という超高解像度のマイクロOLEDディスプレイを備え、3Dカメラ、M2+R1のデュアルチップを搭載するモンスター級のスペックが伝えられ、話題になった。

 従来はVR、AR(拡張現実)、MRと用途別に分かれていた製品と技術は1つに収束しつつあり、Quest 3の登場はその流れを加速するファクターになりそうだ。

 2016年にVRヘッドセットのOculus Riftと、マイクロソフトのMRヘッドセットのHoloLensが登場したとき、VRは個人向けのゲームに、MRは企業の生産現場にフォーカスしていて、技術的にもマーケット的にも別のものに見えた。


 その後、スマホでSNOWやポケモンGOなどでカジュアルなARの利用が広まり、自動運転や映像制作のバーチャルプロダクションなど、カメラ映像の3次元世界を認識する技術、そこにCGを合成する技術が発展し、コンシューマー向けのハードウェアでも利用できるようになってきた。

 こうしてみると、仮想世界をCGで構築するVRの技術と、現実世界にCGを違和感なく重ねて表示するARの技術をミックスして、VRを現実世界に持ち込んだものがMRだとも考えられる。

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MRに含まれるVRとARの技術的要素。3D CG描画や物理演算はARでも要素になるが、ここでは省いている。また、すべての要素技術がVR/AR/MR製品に含まれているわけではない。なお、一部機能の高級機にだけ搭載されている
(図:筆者作成)

 VRがMRに進化することで新しいコミュニケーションが可能になり、コワーキングやトレーニング、クリエイティブワークなど、ゲーム以外の領域で利用が広がってきたのは自明の理と言えよう。

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主なVR/MRヘッドセットの位置付け(次のページで詳しく解説します)
【次ページ】メタのVRがMRに向かった流れ

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