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- 2024/03/26 掲載
怪しい脱毛サロンは何が不自然?破産・返金ナシ「銀座カラーの悪夢」がまた起こる理由
【連載】流通戦国時代を読み解く
・苦戦する「無印良品」と何が違う? ダイソー・3COINSが生活雑貨で絶好調の理由(https://www.sbbit.jp/article/cont1/119275)
代金支払い後に倒産…繰り返される「金銭被害」の歴史
世の中には「先払いのリスク」があることに気付きにくい商品・サービスがいくつもあり、これまでにもさまざまな消費者トラブルが起こっている。たとえば、2000年代初頭、バブル崩壊後の金融危機を発端とした消費不況の時期に、百貨店や大手スーパーの経営破綻が続発した。このとき、地方百貨店が自社で発行していた商品券(全国百貨店共通商品券とは異なる)が、倒産とともに紙くずとなり、その商品券分の代金は返金されず、社会問題となった。
そのほか、有料老人ホームでも数千万円という入居一時金を払い込ませた後に、運営会社の経営が破綻し、サービスが受けられなくなるという事例が多発し、同様の保全措置が義務付けられたということもあった。
このようにサービスを受ける前に一定期間分を前払いさせるといった手法は世の中に数多く存在しているが、ほとんどの場合、何らかの事件が起きてから対症療法が講じられている。つまり、前払い式のサービスには必ず保全措置が法律で定められているわけではないのだ。さらに言えば、保全措置があるとしても、サービス不履行が起きた場合、全額が返金されるわけではなく、必ず金銭的な被害が発生しているのである。
企業が「前払い式」を採用する狙い
こうした歴史を踏まえると、前払い式にはリスクが付きまとうことを消費者側も理解しておく必要がありそうだが、前払い式でお金を集める企業側も消費者にリスクの存在を忘れさせるような巧妙な勧誘をするため、被害を食い止めることが難しい構造になっている。企業側からすると、前払い式を採用する理由は大きく分けて2つある。1つ目が顧客の囲い込みを目的としたケースだ。この場合、先払いをしているために、消費者が一定期間は他社サービスに乗り換えることなく自社サービスを利用してくれる、という囲い込みの効果が期待できる。
たとえば、高島屋や三越伊勢丹をはじめとした百貨店には、「友の会」と呼ばれる積み立てサービスがある。これは、毎月1万円積み立ててくれれば、一定期間後に積み立て額以上の買い物ができる還元が受けられる制度だ。これは明確に顧客囲い込みのために設けた制度であり、安心して利用できる前払い式と考えて良い。
それではなぜ、高島屋や三越伊勢丹の前払い式サービスは、顧客囲い込みが狙いであると断言できるのか。それは、前払い式を採用する企業のある特徴が関係している。ここからは、安心して利用できる前払い式の商品・サービスと、疑うべき商品・サービスの見極めのポイントを解説する。 【次ページ】倒産リスク高い…怪しい「前払い式サービス」の特徴
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