- 2025/08/17 掲載
イチロー氏も実践していた、業務パフォーマンスのムラをなくす「習慣化」の底力(2/3)
「時計」を使って作業効率が大幅アップ
■ 集中すると時間があっという間にすぎる理由集中しているとき、不思議と時間が早く感じられることがないでしょうか?
千葉大学の研究によると、感じている時間というのは、体験した出来事の数ではなく、出来事を「体験した」と認識するために必要な脳のエネルギーや集中力を使えば使うほど長く感じられる──つまり、今やっていることにどれだけ一所懸命に頭を使っているかによって、体感時間は変わるということが示されたといいます。
■ 時計の運針速度を速めると作業効率が向上する
東京大学の伴らによる、「時計の針の動きを速めると、作業の量的質的効率が向上する」という研究があります。実験では、下記の3つの条件を用意し、キーボードを見ずにタイピングすることができる21~24歳の被験者6人に、30分間の文章入力作業などをそれぞれの条件のもとでやってもらいました。
- 条件1…時計の運針速度を遅らせて2/3倍速にする
- 条件2…時計の運針速度を変えない
- 条件3…時計の運針速度を1.5倍速にする
その結果、時計の運針速度と作業速度に正の相関が見られたといいます。つまり、入力文字数が、条件3 > 条件2 > 条件1 の順で多く、それぞれ約8%(約400文字)の作業量の変化があったというのです。ちなみに質においては、運針速度にかかわらず、それほど差はなかったといいます。
また、時計の運針速度の変化に気づいても気づかなくても作業効率に変化はなく、疲労度やリラックス度についても変化はないことがわかりました。運針速度を変えるだけで、クオリティを下げずに作業が速くなるというのは、とても興味深い話ではないでしょうか。
同じ時間にもかかわらず作業量が増えているということは、それだけ集中しているとも言えます。集中すると主観的には負荷を感じにくくなりますから、相乗するように効率が上がっていきます。そのため、集中しているときは仕事がはかどるとも言えるのです。適度に休憩を挟みながら、針の動きが見え、コントロールできる時計をとり入れてみると、集中して仕事や作業がはかどるはずです。
注意力が途切れるのは「疲れたから」ではなく…
■ トップパフォーマーは50分間集中力が続くが、一般人は25分間しか続かない人間の集中力はどれくらい持続すると思いますか?
フロリダ州立大学のエリクソンらの研究では、トップパフォーマーの場合、約50分間の高い集中が可能であるとしています。対して、一般人は25分間ほどしか集中力が持続しないと言っています。
1980年代に、イタリアの起業家フランチェスコ・シリロによって考案された「ポモドーロ・テクニック」は、25分間の集中作業と5分間の短い休憩を1セットとして繰り返す時間管理法です。
これを4セット(約2時間)ごとに行い、合間に計15~30分の休憩をとることで、2時間という比較的長い時間でも継続して集中力を保つことができるようになるとうたっています。
■ 集中力が途切れるのは脳が目標をだんだん忘れてしまうから
作業を続けていると注意力が途切れるのは、集中力が疲れてすり減るからと思われていますが、イリノイ州立大学のアリガとレラスの研究によると、「疲れたから」ではなくて、「この作業をがんばろうという目標そのものを脳がだんだん忘れてしまうから」集中できなくなるということを実証しました。
実験では、参加者に視覚的な注意を必要とする課題を行ってもらいながら、数字を記憶してもらいました。
結果、注意課題が終わった後に数字を思い出してもらう条件では、注意課題のパフォーマンスは時間とともに大きく低下しました。
しかし、注意課題の途中でときどき数字を思い出してもらう条件では、注意力の低下が見られませんでした。
つまり、「ちょくちょく別のことを挟んであげると、脳が元の目標をちゃんと思い出せる=集中が続く」ということがわかったのです。
■ ちょくちょく別のことを挟んであげれば脳が目標を思い出す
ですから、ずっと資料作成をしていると集中力が落ちてくるので、途中で別の軽い作業(メールのチェックや短いメモ整理など)を挟むと、資料作成への集中力がリセットされやすくなります。
ほかにも、話を聞きつづけていると集中力が切れてしまうので、ときどき「今の内容を3秒で要約してみましょう」とか「手元のメモをチェックしてみて」など、軽い切り替えを入れると、その後の話がまた入りやすくなるわけです。
「集中力が切れたら休む」こともいいのですが、休めない場合などは、ちょっとだけ違うことをすることを意識してみてください。
別のことを挟んで脳を飽きさせないようにする
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