- 2025/08/05 掲載
なぜ娘は外国籍の子に傷つけられた? 保育現場はもう限界…裏にある「3つの構造問題」(3/3)
【問題点3】活用できない「補助金制度」
一方で、特別な配慮を必要とする子どもを受け入れる園に対しては、プラスアルファの補助金制度も存在します。市町村が認めた障がいのある子ども(身体障害者手帳等の有無は問わない)を受け入れ、基準(通常、障害児2人に対し保育士等1名を追加配置)を満たす場合に適用されます
・療育支援加算
障がい児を受け入れている園に対し、メインで担当する保育者とは別に、補助的な役割を果たす保育者を配置する場合に適用されます
・外国籍幼児に関連する支援
一部の自治体では独自の補助金制度が存在します。たとえば横浜市では、外国人児童の比率が一定(例:20%以上)を超えると、処遇向上のための保育者を雇用するための経費が補助されます
ただし、こういった制度は自治体による格差(あるいはまったく実施していない自治体も存在します)がありますし、そもそも発達途中の幼児に対し、障がいの有無を認定することそのものが難しいという課題も存在します。
身体障がいならばともかく、大人で言うところの知的障がい・精神障がいの有無を幼児に当てはめることはとても困難です。
こういったグレーゾーンな幼児を保育する上では補助金を期待することは難しい…というか、事実上無理です。結果、グレーゾーンな幼児をサポートするのも、保育者ら現場のマンパワーに頼らざるを得ないのです。
政府は保育者の「スキルと献身」に頼り過ぎ
ちなみにAくんですが、最近では同級生を傷つけるような問題行動は起こしていません。Aくん自身も成長しているのでしょうが、現場の先生方が、負担増加を承知でフォローしてくださっている結果もあるのでしょう。私の娘の場合は、このように先生方の献身的なマンパワーによって助けられています。しかしこれは本来、特別な配慮を必要とする子どもたちに対してフォローできる仕組みづくりを、行政がしっかりと対策すべきことです。
こうやって保育園・幼稚園の現場が抱える問題を見てくると、「もうちょっと政府には頑張ってほしいよね」と感じます。
そもそも保育士配置基準、特に3歳児以上の基準が大幅に改善されたのは、実に約76年ぶり、というのですからあきれてしまいます。
2年前、当時の岸田首相は「こどもは国の宝」と発言し、次元の異なる少子化対策実現を表明しました。この発言は、さまざまな視座から批判を浴びましたが口だけではなく、政府には本記事で取り上げたような保育園・幼稚園における現場の保育者たちの負担を減らす仕組みづくりにも、ぜひとも取り組んでほしいです。
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