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- 2024/09/03 掲載
定時制高校“減少”…増える不登校生徒が「行き場を失う」、通信制は代役になれない?
定時制は「全高校の約2倍」の速さで減っている
「実は本校、2025年度が最後の新入生募集で、2030年3月で閉校するんですよ」。そう教えてくれたのは、神奈川県にある定時制高校(以下、A校)の先生(B先生)である。A校との縁ができたのは2017年のこと。物流ジャーナリストを表看板に掲げる筆者が当時、物流に関する授業を初めて行った。これをきっかけに、知己の倉庫会社に対してインターンシップや就職を斡旋する関係が続いてきた。
現在、神奈川県内には、24校の定時制高校がある(注1)。そのうち、6校が2025年4月を最後に、募集を停止し、閉校される。だが定時制高校の減少は、神奈川県内に限った話ではない。
2013年、全国で669校あった定時制高校(全日制との併置を含む)は、2023年には621校に減っている。10年間で約7%の定時制高校が閉校したことになる(図1)。
全国の高校(全日制・定時制の合計)に関して言えば、2013年から2023年の間でマイナス190校、4791校まで減少した。割合で見れば約4%の減少だ。少子化によって学校の数が減っている、との見方は妥当だろうが、定時制高校は倍近いペースで閉校していることになる。
「たしかに、当校も含め、神奈川県内の定時制高校は、ここ10年、ずっと定員割れが続いています。ただし、『だから閉校せざるを得ない』というのは、間違っているのではないでしょうか?」。これは、B先生の言葉だ。
通信制は10年で「生徒数42%増」
一方で、気を吐いているのが、通信制高校である。2013年に、221校、生徒数18万5589人だった通信制高校は、2023年には、289校(2013年比30.8%増)、生徒数26万4974人(42.8%増)まで増えた。ちなみに、全日制・定時制・通信制の高校生の総数が291万8501人だから、通信制高校に通う高校生は割合にして9%、11人に1人が通信制高校に通っている計算となる。通信制高校は、1961年の学校教育法の改正によって誕生した。全日制・定時制に続く、第3の高校である。3つ以上の都道府県からの生徒を募集対象とするのが、広域通信制高校。所在地とその隣接県1つないし2つに居住する生徒を募集対象とするのが、狭域通信制高校である。
通信制高校として、広く名が知られているのが、学校法人角川ドワンゴ学園が経営するN高とS高だろう。これら通信制高校が定時制高校の代替になれるとの声があるが、果たして本当にそうなのだろうか。
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