- 2025/10/05 掲載
なぜあの人の話し合いは成功するのか? 失敗する人が知らない3段階の説得術
ベストセラー書籍『THE RHETORIC 人生の武器としての伝える技術』(多賀谷正子訳、ポプラ社、2018年)を代表作とする作家。書籍のほかにも『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』『VICE』『ハフポスト』など、さまざまな媒体にて執筆活動を行っており受賞歴多数。またアイビーリーグの各大学やNASA、米国防総省の編集者を対象に、説得術について指導する。各方面から絶賛のブログFigarospeech.comや、弁論術に関するサイトArgueLab.comの運営者でもある。公式サイト:jayheinrichs.com
話し合いでは、“真の捕食者”ネコになる必要がある
アシジの聖フランシスコはトリを相手に伝道したって?待つことが話し合いと関係あるのかって? 実は、おおいに関係ある。人間は話し合いの中で、次から次へと論点を追い求めるきらいがある。まるで頭の悪いイヌみたいに、だ。それぞれ一方的に言葉を連ねれば、おたがい声のボリュームが上がり、ヒートアップしていく。それでは1つの論点に絞ることなく、ただ噛みつき合っているようなものだろう。相手を非難するあまり我を忘れてしまえば、愚か者もいいところだ。
一体何のために? トリが好きだったら、ネコに対して道を説いたらよかったのに。
── レベッカ・ウェスト(イギリスの小説家)
私たちは真の捕食者のごとく話し合いを進めるべきである。そう、ネコみたいに。
そのためには、工夫と忍耐力が必要だ。なぜなら、人間にはある重要な身体的特徴が欠けているからである。人間はネコと違って、目標物に視線を定めることを苦手とするのだ。周辺の対象が常に視野に入るおかげで、視線の固定が難しいのである。大笑いすること請け合いだが、1列に並んだネコたちがみな同じように頭を動かす動画を見てほしい。それは、捕食者としての動きである。捕食者は、体を使って獲物の動きを追う。ターゲットに銃口を定める警察官よろしく、ネコは獲物に対して常に正対することで、照準をあわせているのである。
以上の点を頭に留めておきたい。そうすれば、話し合いの中でやるべきことが見えてくるだろう。そう、常に狙いを定めるネコのイメージだ。
話し合いでは相手が誰であろうと、ネコのように照準をピタリとあわせる必要がある。相手の意見に同意できないときこそ、狙いを見失うべきではない。自分の狙いは何なのか、つまり何を成しえたいのか、常に意識する必要があるのだ。
弁論術では一般に、説得には3つの狙いがあるとされている。達成が容易なものから紹介していく。 【次ページ】まずは相手の機嫌をよくすることが重要
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