- 2025/11/12 掲載
なぜ大人が沼る?「ぬい活」が生む“静かな熱狂”、お泊りや保育園……新市場の“今”(3/4)
200人が利用「ぬいぐるみ保育園」の凄すぎる実態……
金子氏が2022年に立ち上げた「Fluffy Communication(フラッフィ コミュニケーション)」では、ぬいぐるみに関する研究活動やぬいぐるみのウェア&アクセサリーの製作・販売のほか、「ぬいぐるみの保育園」も不定期で実施している。「ぬいぐるみの保育園は基本的に1日で完結するもので、利用者の方からお預かりしたぬいぐるみを1クラスとして、一緒に過ごす様子をひたすら写真に収めるといったサービスです。保育園には先生もいて、集まったぬいぐるみたちの中でストーリーを設計していくのが醍醐味です」(金子氏)
「みんなでお弁当を食べた」「お昼寝をした」「ハロウィーンパーティーをした」「〇〇ちゃんと〇〇くんが仲良しになって、こんなふうに一緒に過ごした」といった、その日の園での様子を写真に収め、連絡帳に書いて、利用者にフィードバックするという。
「私のこだわりで、日常で経験できないことを提供することを大事にしています。たとえば、過去にはハイヤーを貸し切って社会科見学に出掛けたり、1泊15万円ほどするシャングリラホテルに宿泊する海外視察ツアーを実施したりもしました。大理石のお風呂でバスローブを着て写真を撮影するなど、非日常のラグジュアリーな体験を提供しました」(金子氏)
ぬいぐるみの保育園の利用料は、1日・1個で8,800円。海外視察ツアーは、3泊4日で1個・2万円で実施した。なかなかの価格帯だが、実はかなりの赤字経営だという。保育園を利用するぬいぐるみは非常にかわいがられており、施設や道具などが清潔で洗練されていなければ使ってもらえない。ぬいぐるみはバカラのグラスを持つように扱うなど、細部まで気配りを徹底しているそうだ。
利用者層は40代以上の女性が中心だが、男性が1人で利用する場合もある。以前利用した60歳以上の男性は、ぬいぐるみを溺愛していた。猛烈に働いていた世代で子育てを一切してこなかった代わりに、ぬいぐるみを通して子育てをやり直しているのだという。
「私たちはお預かりしたぬいぐるみを『命』として扱います。そうした振る舞いに共感する声が多いですね。また、非日常的な体験ができる点にも満足いただいているのかなと思います」(金子氏) 【次ページ】一体なぜ? 大人たちは「ぬいぐるみ」の何に魅了されるのか
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