- 2025/11/12 掲載
なぜ大人が沼る?「ぬい活」が生む“静かな熱狂”、お泊りや保育園……新市場の“今”(4/4)
【なぜ?】大人たちは「ぬいぐるみ」の何に魅了されるのか
金子氏によれば、推し活の延長でぬい活を始めたZ世代と、昔からぬいぐるみが好きな40代以上の大人層では、「ぬいぐるみへの思い入れ」がやや異なるようだ。「若年層がけん引するぬい活は必ず象徴があって、トレンドの一貫としてぬい活をしているところもあると思います。対して、40代以上でぬいぐるみが好きな方は、一緒にストーリーを紡ぐパートナーのような存在として、ぬいぐるみを位置づけている傾向です。たとえば、落ち込んだときや『ここぞ』というタイミングで、心の中でぬいぐるみに話しかけて、互いにストーリーや感情を共有しているんです。そうした経験を何度も経て、ぬいぐるみとの間に絆が生まれる。ここに、ぬいぐるみの強さがあると思うんです」(金子氏)
たとえば、俳優の大和田伸也氏は、そうしたぬいぐるみ好きの大人のひとりだ。78歳になる大和田氏がぬいぐるみを好きになったのは、1994年公開の映画「ライオン・キング」で、父王、ムファサの声優を務めたことがきっかけだったという。長年、ひそかにぬい活を続けてきたが、2025年2月にSNS投稿が大きくバズったことを機に、ぬい活の様子を公にするようになったそうだ。
ぼくとポケモンの水族館大冒険
— 大和田 伸也 (@oowadashinya) February 7, 2025
みんなでチャプチャプ きもちがいいです^_^#ポケモン #ぬい活 #振り向き界隈 #水タイプ pic.twitter.com/mToT1FJZo3
ポケモンのぬいぐるみを手に持って水族館を楽しむ大和田氏の様子は、多くの人に勇気や元気を与え、共感を呼んだ。同投稿には19万の「いいね」がつき、表示は1675万以上にのぼる。こうした反響から恥ずかしさが払拭(ふっしょく)され、のびのびとぬい活を楽しむようになったと大和田氏は語っている。もしかすると、かつての大和田氏のように、ひっそりとぬい活を楽しむ大人は意外にいるのかもしれない。
実は成長続く「ぬいぐるみ市場」、“450億円市場”の今後は
今後、「ぬいぐるみ市場」はどうなっていくのか。金子氏は、「引き続き拡大していくのではないか」と見解を話した。「IP産業が軌道に乗っている時期は、ぬいぐるみ市場も拡大していくと思います。一方で、アクスタがぬいぐるみに代わったように、そのうち“飽きる”タイミングがくるはずです。すると市場は頭打ちになり、ぬいぐるみに代わる推し活が生まれてくるのではないでしょうか。ただ、日本の上質なぬいぐるみは海外の方にも好評なので、海外市場へ積極的に展開していくのも良いだろうなと思います」(金子氏)
Fluffy Communicationの今後についてたずねると、役目を終えたぬいぐるみを再利用する新サービスを検討しているという。
「ぬいぐるみ好きの方から最も多く聞かれるのが、『ぬいぐるみが捨てられない』というお悩みです。大事に思う気持ちに配慮した、最適な供養の方法を提供できればいいなと思うのですが、私だけでは限界があり、パートナー企業を探しているところです。途上国の子どもたちに送るのも違う気がするので、再活躍してもらえる方法を見つけたいですね」(金子氏)
多様な進化を遂げ、無視できない市場規模になっている「ぬい活」。いずれトレンドの終焉(しゅうえん)がくるとしても、文化としての「ぬい活」は残り続けるのではないか。
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