- 2025/12/06 掲載
「これ急ぎで」「確認したいことが…」次々と襲い来る忙しさの根源を断つ、簡単な方法(3/3)
相手も自分もぐったり…疲れてしまうメールの書き方とは
何かをお願いしたり、お願いされたりすることは仕事上よく発生すると思います。実は何かを依頼する場面というのは、リアクションが発生しやすいのです。
次の例を見てみましょう。
企業で社内研修を担当しているFさんは、研修の準備として、講師と連絡を取り合う業務が忙しく、負担だと感じていました。
なぜ、忙しいと感じるのか。Fさんが書いた、次のメールを読んでください。
「(前文省略)当日の手配につきまして、確認させていただきたいことがあります。何か、気がつくことはありますか?
こちらで準備する物または講師の先生がご持参される物を教えてください。
講師の先生の到着時間は何時になりますでしょうか。
参加者への配布資料はいただけますでしょうか。
その他ご不明な点について、お知らせください」
これらの文章は、すべて相手に回答を求めています。
相手は、これらにリアクションとして回答しなければならないので、自分の作業を中断して返信した後にソワソワして、イライラして、ぐったりするであろうと想像できます。
Fさんはこのメールで、相手の作業ペースを乱し、多忙感へと誘っています。
そして、当のFさんも、多忙感に頭が支配されます。
なぜなら、相手の返信がすべて外乱となるからです。
「講師が持参する物を把握する」→ 講師の持ち物を記憶する
「講師の到着時間を把握する」→ 到着時間に合わせて行動する
「配布資料の有無を確認する」→ 有なら形式を聞いて送ってもらう
「他の不明な点を把握する」→ 講師の問いに回答する
自分のメールが原因で、5つもリアクションしなければならないのです。こんなに外乱に襲われては、ぐったりと疲れ切ってしまいます。
Fさんは、このメールを無意識に書いていました。
そこでこれを、アクション形式で書き換えてもらいました。
こちらがアクション形式のメールです。
「(前文省略)当日の手配につきまして、確定事項をお伝えします。アクション形式のメールなら、メールを送ったところで、Fさんの仕事のほとんどは終わりです。相手も、自分の作業を中断せずに済みます。
プロジェクター、マイクはこちらで準備いたします。
パソコンとHDMIケーブルはご持参ください。
13時開始なので、20分前までにお越しください。
配布資料がございましたら、1週間前までにPDF形式でお送りください。
その他ご不明な点について、お知らせください」
相手を尊重しているつもりが「責任を押し付ける」形にも
このようなアクション形式のメールについてFさんは、「こちらから条件を提示しているようで、講師の先生が気を悪くするのではないか」と気にしていました。たしかに、このメールに対して、一方的で突き放しているような印象を受けた人もいるでしょう。
しかし、Fさんと少し話をしたところ、本当の言い分が出てきました。
Fさんはこう言いました。「私が決めていいのでしょうか」。
リアクション形式のメールを書いてしまうときは、相手の意思を尊重しているつもりだと思います。
しかしこれは見方を変えると、相手に責任を押し付けているとも言えます。
「あなたが決めてくれないと私は行動できない」という意味でもあるからです。
「自分から決める」という姿勢は、自分の多忙感を減らすだけでなく、実は相手のためにもなります。
なぜなら、相手の判断の負担を軽くするからです。
一方、「○日の○時からいかがでしょうか」と具体的に提案されれば、相手はイエスかノーかの判断だけで済みます。
自分から決めることでやり取りの回数も減らせます。
つまり、自分が主体的に決めることは、自分の行為主体感を高めるだけでなく、相手の負担も軽減し、ともに多忙感から抜け出す効果があるのです。
自分から発信する言葉や文章は、1文で明確に言い切るようにすると、自分も相手も脳の負担を減らすことができます。
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