- 2025/12/24 掲載
クリスマス「予定なし」過半、祝わないのではなく「選別している」
データが示す「予定なし」過半という転換点
インテージは2025年11月19~25日に、全国の15~79歳の男女5000人を対象に、クリスマスに関する意識と行動を調査した。その結果によると、クリスマスに「特に予定はない」と答えた人は54.1%に達した。前年の51.1%から3ポイント増え、調査開始以来で最も高い水準となった。この結果を基に、同社はクリスマス関連の市場規模を7,274億円と試算した。平均予算と推定人口を掛け合わせたもので、前年比94.2%に相当する。市場は前年に続き2年連続で縮小した。2年前との比較では、およそ3分の2の規模にとどまる。
縮小の要因は、参加しない層の拡大に限られない。予定があると答えた層でも行動はやや弱含んだ。「プレゼントを購入(自分用含む)」は前年の27.4%から26.0%に、「自宅でパーティーをする」は25.6%から24.2%にそれぞれ低下した。
一方で、すべての項目が落ち込んでいるわけではない。クリスマスに「ケーキを食べる」と答えた人は40.6%と、前年の40.0%からほぼ横ばいだった。象徴的な消費は一定程度維持されている。
「節約」だけではない、理由トップは「興味・習慣がない」
では、なぜ予定がない人が増えたのか。調査によると、予定がない理由(複数回答)のトップは「興味がない・習慣がない」で31.1%だった。「お金をかけたくない・節約したい」は16.2%で2位にとどまる。この結果は、家計防衛意識の高まりだけでは説明できない変化を示す。クリスマスを「やるべき行事」として捉えない人が増えている可能性がある。とりわけ単身世帯や共働き世帯の増加、生活リズムの多様化などが背景にあるとみられる。
ただし、家族イベントとしての側面が完全に失われたわけではない。末子が高校生相当以下の世帯では、「予定なし」は1割程度にとどまった。その一方で、この層では「お金をかけたくない・節約したい」と答えた割合が21.5%と全体平均を上回った。行事としては続いていても、負担感が増していることがうかがえる。
消費マインド全体が冷え込んでいるわけではない。博報堂生活総合研究所が発表した2025年12月の消費意欲指数は52.9点で、前月から6.6ポイント上昇し、同年で最も高い水準となった。ただし、前年同月比では1.5ポイント低く、2012年の調査開始以来、12月としては最も低い水準だった。年末は消費意欲が高まりやすいが、その勢いは年々弱まっている。 【次ページ】「祝わない」のではない、消費を「選別している」
流通・小売業界のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR