• 2025/12/24 掲載

クリスマス「予定なし」過半、祝わないのではなく「選別している」(2/2)

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「祝わない」のではない、消費を「選別している」

 生活者の変化は、消費の中身にも表れている。インテージの調査では、クリスマス料理やケーキを食べる日として「12月24日」を挙げた人が57.9%と最も多かった。「25日」は21.3%で、週末の20日、21日も11.5%と一定の割合を占めたが、需要は24日に集中している。

 同社は、24日と25日が平日であることも影響しているとみる。平日の場合、外食や旅行といった高額な消費は起きにくく、自宅で過ごす傾向が強まる。結果として、消費は短期間に集中し、かつ比較的低コストな形になりやすい。

 ケーキの購入予算を見ると、3,000~3,999円が29.7%で最も多く、2,000~2,999円が20.1%、4,000~4,999円が17.0%と続いた。5,000円以上は12.2%で前年とほぼ変わらない。高価格帯が消えたわけではないが、中価格帯が中心という構図が定着している。

 平均予算は1万6,418円で前年比100.5%とほぼ横ばいだった。ただ、2023年の2万2,588円と比べると低い水準にとどまる。物価上昇を考慮すれば、実質的な支出は抑制されているとみられる。生活者は、クリスマスを完全にやめるのではなく、何を残し、何を削るかを選別していると解釈できる。

企業に求められる前提転換

 生活者の選別が進む中で、企業側にも前提の見直しが求められる。第1に、参加者が増えることを前提に商戦を組み立てないこと。予定なしが過半を占め、予定あり層の行動も微減している現状では、母数の回復を期待する戦略はリスクが高い。

 第2に、訴求を「盛り上げ」に寄せすぎないことが重要になりそうだ。需要が特定の日に集中する場合、消費者が重視するのは華やかさよりも失敗しない体験だ。欠品しない、受け取りが滞らない、当日に迷わず選べるといった要素の価値が相対的に高まる。

 第3に、クリスマスを単独のイベントとして切り出しすぎない視点も欠かせない。年末は帰省や正月準備など複数の支出が重なる。生活者が全体最適を図る中で、クリスマス消費はその一部として位置づけられる。予約やセット提案など、年末の行動導線に組み込む工夫が求められる。

 クリスマス商戦の縮小は、行事そのものの消滅を意味するわけではない。むしろ、生活者が消費を選別する時代に入ったことを示す。企業にとっては、派手な演出よりも、確実に選ばれる設計が問われていると言えそうだ。

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