- 2026/01/14 掲載
売上95%減の絶望…峠の釜めし6代目が「脱・観光依存」のためにやった「5つのこと」(3/3)
中断→再開→大成功をたどった「EC事業」
現在、荻野屋ではEC事業も積極的に展開している。専用のオンラインショップを運営し、「峠の釜めし」はもちろん、カレー、惣菜、お菓子などを販売している。ただし、EC事業は、一度、中断した過去がある。「当時のインターネット通販では、温かい状態で販売することが難しいという理由から、釜めしは扱っていませんでした。このため、お客さまから『なぜ、看板商品の釜めしがないのか』という多数のお問い合わせをいただきました。加えて、ECを社内で管理することが困難であったこともあり、いったん閉じることにしたのです」(高見澤氏)
しかしコロナ禍でEC市場が拡大し、かつ冷凍食品を温めて食べることが当たり前になったことで、冷蔵の釜めしを販売することを決断。社内の体制も整えて、2023年10月から新しいオンラインショップをオープンすることになった。
結果は非常に好評だ。また、峠の釜めしの味を知る親へのプレゼンとして購入されるケースもあるなど、新しいニーズを発掘することにも成功した。
JR東日本と「無人店舗」運営に挑戦
もう1つ注目したい試みが、2024年11月に上信越自動車道下りの「東部湯の丸サービスエリア」にオープンした無人販売店舗だ。ここでは、お弁当やおにぎり、飲料といった飲食物、地域の土産など約230点の商品を無人販売している。「24時間営業が求められるサービスエリアでは、夜間の人材確保が難しくなっています。無人販売店舗は、その解決策の1つです。もともと、同サービスエリアの商業施設を運営していたこともあって、無人販売施設の運営も弊社が担当することになりました」(高見澤氏)
なお、現時点では利用者が劇的に増えている状況にはないという。まだまだ認知度が低いことが理由だと思われるが、認知度が高まるにつれて利用者は増えていくだろうと、高見澤氏は期待する。実際、JR東日本では、交通系ICサービス「スイカ」をかざすと入店できる無人店舗を積極的に展開。2024年から開始し、現在は首都圏を中心に6店舗展開している。
「特に過疎化が進んで人の採用が難しいエリアでは、昼間に商品を補充するだけで運営できる無人店舗は可能性が大きいと思います。キャッシュレスが当たり前になったように、こうした店舗も当たり前になっていくのではないでしょうか。我々としては、こうした最新のテクノロジーを、今後も積極的に使っていきたいと考えています」(高見澤氏)
このように、荻野屋は峠の釜めし依存、観光依存からの脱却を図ろうと試行錯誤を続けている。2025年10月15日に創業140周年を迎えた同社だが、今から見据えるのは200年目だ。先行き不透明な変化の激しい時代をどう生き残っていくのか、今後も注目してほしい。
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