- 2026/06/15 掲載
パワポ資料が消えた…MIXI「生成AIフル活用」がエグすぎる、年10億円削減の衝撃の裏側(2/2)
AI前提で変わった「採用基準と人事評価」
さらに単純なコスト削減にとどまらない好影響を強調する。「単純に作業時間を削減して人件費を減らせますし、同時に外注費の削減にもつながります。より大きな成果は、自分たちでできることの範囲を広げられることです。さらに大事なのはスピードです。今の時代においてスピードで負けるのが1番のリスクであり、たとえば他社さんのゲームでサプライズ的なイベントが実施されれば、競合である我々も対抗しなければいけません。以前から準備していれば対応できますが、準備がなくとも動けるようにするべく、スピード感を持って着いていけることを目標にしました」
こうした背景もあり、採用面での変化も見られる。すでに採用基準において、AIを使えることが前提になっている。これは業務に必要な作業工数においてAI活用を前提としており、すでに紹介したように1カ月かかる作業が数日で済むようになっているためだ。
このような環境に中途採用者が順応できるかを判断しながら、お互いが納得できる形に落とし込んでいる。人事評価ではAIを使うこと自体ではなく、AIを活用してどのような成果や価値を生み出したかを重視している。
また、自己評価についてAIと相談する社員が増えており、自分の成果を示しやすくなって自己肯定感が上がる影響も見られた。
世界で稼げる絶好機、「人間不要論を恐れる暇はない」
一方でAIによる従業員の削減など脅威論も懸念される。だが、MIXIにおいてそのような不安材料は無いと語る。「MIXIは消費者向けサービスが中心という側面もありますが、AIを使える前提で2倍3倍のモノを世に出して会社を成長させる必要があります。なので、『AIによる仕事が奪われるとかの人間不要論を恐れる暇があれば、もっとモノを作ろう』というのが私からの回答です。さらに翻訳の進化によって、海外展開のハードルも下がりました。モノを作って世に出しながら、データや傾向をつかんで改善するサイクルも自動化できます。お陰で海外と時差があっても現地法人だけでなく、日本側が中心となって進められます。今は世界で稼げるチャンスであり、仕事が奪われることや人間が不要になると怖がる暇はないでしょう」
すでにMIXIでは必要なシステムを自前で作る文化が誕生している。以前はアプリの機能追加や社内システムの要望を企画書や文書でまとめていたが、今は実際に動く試作品を作って、その試作品を見せながら議論を始められる段階になっている。
削減できた時間については、新たな業務や挑戦といったほかのことに振り向けるよう推奨している。これまで十分に連携できていなかった他部門との協業やノウハウ共有も進み、付加価値の向上につながっている。こうした変化を踏まえ、今後の組織はどのように変わっていくのか。
「すでに『AIを使って〇〇ができました』という成果は浸透しており、2026年は効率化から付加価値をどれだけ高めたかに集中する段階だと考えています。そしてもう1つは、組織の変化です。人間同士による合意形成が事業を展開する上で障壁になるので、組織のスピード感を速めるために必要なことを見極めて変わることが、今後の目標になるでしょう」
MIXIが組織全体でAIによる大きな成果を出すことで、働く人間はより付加価値を提供できる部分に集中できる。人間がやらなくても良い作業をAIに任せて、自分が得意なこだわりを発揮できる部分に振り分けられるのだ。
MIXIはSNS、ゲーム、ライフスタイル、スポーツなど複数事業を展開するが、根本にあるのは人と人をつなぐ「コミュニケーション」である。AIによって業務効率化を進めてWeb上で得られるデータを集める一方で、将来は熱量や感情といったデータ以上の何かを理解することが重要だと村瀨氏は語る。
MIXIが提供するのは生活必需品ではないが、人生の必需品である。コミュニケーションを軸としながら普遍的な価値を提供することが、MIXIにおける将来像と言えるだろう。
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