- 会員限定
- 2026/07/01 掲載
大苦戦なのに…なぜ新店増やす?大丸松坂屋・パルコら百貨店の“執念の打開策”の勝算
【連載】流通戦国時代を読み解く
nakaja lab 代表取締役。みずほ銀行の中小企業融資担当を経て、同行産業調査部にてアナリストとして産業動向分析に長年従事。分野は食品、流通業界。執筆、講演活動中で、TV等マスコミで情報発信中、連載記事は月6本以上。主な著作物に「図解即戦力 小売業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」(技術評論社)、「小売ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)などがある。
百貨店は苦しい時代だが…なぜ今、新規出店ラッシュ?
2026年6月、大手百貨店グループでは近年では珍しい新規出店のニュースが相次いだ。たとえば、松坂屋や大丸、パルコを運営するJ.フロントリテイリング(以下、Jフロント)は、松坂屋の本拠地・栄地区に新商業施設「HAERA(ハエラ)」を開業した。
HAERAは、百貨店事業を担う大丸松坂屋百貨店と、専門店ビルを運営するパルコの強みを組み合わせたラグジュアリーモールだ。高級ブランドの旗艦店やレストランを集積し、百貨店の高級感とショッピングモールの回遊性を融合した施設として位置づけられている。
同社社長も「国内でこれほど高級ブランドが集まる場所は珍しい」と語ったという。斬新なフレグランスや革小物店も揃えたラグジュアリーな構成で、初年度売上300億円を目指す。
HAERA出店の狙いの1つは、再開発で活況を呈する名古屋駅前地区に対し、地盤沈下気味の栄地区を活性化することにある。
名古屋の百貨店売上トップは、かつては老舗の松坂屋本店だった。しかし近年は、名古屋駅の「ジェイアール名古屋タカシマヤ」が売上高約2,154億円(2024年度)と、松坂屋(1,316億円)を大きく引き離している。
また、インバウンド需要の側面から見ると、名古屋は観光客が比較的少なく、高山・白川郷方面への乗り換え客が多いため、市内への回遊が少ないことで知られる。その結果、地下鉄乗り換えが必要な栄地区の松坂屋では、インバウンド売上比率が約6%(大丸松坂屋百貨店全体では17%弱)にとどまるなど、恩恵を十分に受けられていない。
そこで松坂屋本店が強化しているのが富裕層向けビジネスだ。近年の百貨店は、売上・収益ともに富裕層による高額商品の購入とインバウンド需要に支えられている。特に中国人訪日客が減少する中、ブランド品や貴金属、美術品など富裕層向け商品の存在感が一段と高まっている。
【図】三越伊勢丹・Jフロント・高島屋の「富裕層」売上比較
なお、そうした富裕層の購買力は、足元の株高などの資産効果などもあって、これまで以上に高まっているのだという。大手百貨店の直近期売上高はインバウンドの落ち込みを富裕層売上の拡大がかなり補ったため、減収がかなり軽減されたらしい。
今すぐビジネス+IT会員に
ご登録ください。
すべて無料!今日から使える、
仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
流通・小売業界のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR