- 2026/09/24 07:10 掲載
AIで「37%時短」でも頭は鈍る?「どんどんバカ」になる人・ならない人の違いとは(2/3)
コンサルで起きた「正答率低下」の原因
もう1つ、気になる研究がある。経営学誌『オーガニゼーション・サイエンス』に掲載された「ギザギザした技術フロンティアを進む」(2026年)は、758人の経営コンサルタントを対象にした実験である。AIが得意な課題では、AIを使った人は仕事を25.1%速く終え、品質も約30%上がった。
ところが、AIが苦手な課題では結果が逆になった。AIを使わなかった人の正答率は84.5%だったのに対し、AIを使った2つのグループは60.0%と70.6%にとどまった。AIを使ったことで、正解から遠ざかったのである。
怖いのは、間違った提案も読みやすく、筋が通って見えることだ。AIは正しい答えだけを立派にするわけではない。間違いもきれいに整える。もっともらしい数字が並び、迷いのない調子で書かれていると、人は中身まで正しいと感じやすい。
ここで差が出る。AIの文章力をそのまま判断力だと思う人は、整った答えを見て安心する。一方、AIを使いこなす人は、文章がうまいことと、内容が正しいことを分けて考える。読みやすい答えほど、数字や前提を丁寧に確かめる。
初心者ほどハマる「AI依存」の怖い循環
初心者は、この罠にはまりやすい。AIは、初心者に良い文章の型や考え方の例をすぐに見せてくれる。大きな助けになる一方、初心者には間違いを見抜くための知識もまだ少ない。答えを評価するには、自分で答えを作れるだけの基礎が要る。
基礎を学ばず、最初からAIに任せると、評価する力が育たない。評価できないから、さらにAIへ任せる。
しばらくすると、AIがなければ何から考えればよいのか分からなくなる。しかも、本人は以前より早く仕事を終えているため、力が伸びていないことにも気づきにくい。
学校での実験は、この問題をさらに分かりやすく見せてくれる。
米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された「生成AIは学習を損なう」(2025年)は、トルコの高校生約1000人を対象にした数学の研究である。
一般的なGPTを使った生徒は、練習問題の成績が48%上がった。目の前の問題には、よく答えられた。ところが、AIを使えない試験では、成績が対照群より17%下がった。
AIと一緒なら解けるのに、1人になると解けない。練習問題の成績は上がったが、本人の中に解き方が残っていなかった。
同じAIなのに「127%アップ」したワケ
この研究では、教師が設計した「GPT Tutor」も使われた。こちらは完成した答えをすぐには渡さない。ヒントを出し、生徒に途中の考え方を求める。GPT Tutorを使った生徒は、練習問題の成績が127%上がった。AIなしの試験でも、一般的なGPTを使った生徒に起きた成績低下は見られなかった。
同じAIでも、答えを渡す使い方と、考えるのを助ける使い方では結果が変わる。
生徒の代わりに解けば、その場の正解は増える。生徒自身に考えさせれば、解き方が残る。大切なのはAIの名前や性能より、人間がどの部分を自分で考えたかである。 【次ページ】企業が導入するべき「休憩ルール」
業務効率化のおすすめコンテンツ
業務効率化の関連コンテンツ
PR
PR
PR