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  • 2010/08/19

グーグルはなぜスマートフォンOSを無償で提供するのか:財務諸表からスマートフォン戦略を読み解く(3)

マイクロソフト、アップル、グーグルなど5社を比較

近頃、「スマートフォン」という単語を耳にする回数が増えたのではないでしょうか。実際、アップルの「iPhone」のリリースに始まり、ソニー・エリクソンによるAndroid OS搭載の「Xperia」の発売などにより、日本でもそのすそ野が広がってきています。スマートフォン市場において興味深いのは、提供ベンダーによって、そのビジネスモデルが大きく異なる点です。本連載では、スマートフォンに携わるマイクロソフト、アップル、グーグル、リサーチ・イン・モーション(RIM)、ノキアの5社の財務諸表から、その戦略、今後の展開について考えてみましょう。第3回は、グーグル、RIM、ノキアの3社を取り上げます。

フューチャーブリッジパートナーズ 長橋賢吾 編集:編集部 松尾慎司

フューチャーブリッジパートナーズ 長橋賢吾 編集:編集部 松尾慎司

2005年東京大学大学院情報理工学研究科修了。博士(情報理工学)。英国ケンブリッジ大学コンピュータ研究所訪問研究員を経て、2006年日興シティグループ証券にてITサービス・ソフトウェア担当の証券アナリストとして従事したのち、2009年3月にフューチャーブリッジパートナーズ(株)を設立。経営コンサルタントとして、経営の視点から、企業分析、情報システム評価、IR支援等に携わる。アプリックスIPホールディングス(株) 取締役 チーフエコノミスト。共著に『使って学ぶIPv6』(アスキー02年4月初版)、著書に『これならわかるネットワーク』(講談社ブルーバックス、08年5月)、『ネット企業の新技術と戦略がよーくわかる本』(秀和システム、11年9月)。『ビックデータ戦略』(秀和システム、12年3月)、『図解:スマートフォンビジネスモデル』(秀和システム、12年11月)。
ホームページ: http://www.futurebridge.jp


グーグルのP/Lを見る

 これまでご紹介してきたように、マイクロソフトは主にソフトウェア(OSを含む)、アップルはソフトウェア(OSを含む)+ハードウェアを提供していますが、グーグルはこの2社とはビジネスモデルがまったく異なります。

 まずはグーグルのP/Lを見てみましょう。図表1は、同社の4半期ごとのセグメント別売上高推移と営業利益率を示しています。そのセグメント構成は以下の3事業で、ソフトウェアやハードウェアのセグメントはありません。

1)Google.comでの広告収入
2)Google.com以外での収入(他のポータルサイトへの検索エンジンの提供など)
3)その他(企業向け検索アプライアンスの提供など)

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図表1 グーグルセグメント別売上高および営業利益率推移(単位:百万ドル)
(出典:グーグル会社資料)

 Google.comでの収入については、同社の検索連動型広告サービスであるGoogle AdWords、AdSenseサービスがその中心となります。この事業での同社の強みは、言うまでもなく、検索を通じて、広告主とユーザーをマッチングさせるテクノロジーです(いわゆる検索連動型広告)。

 検索連動型広告でのグーグルの業績は急拡大しており、このセグメントでの09年12月期の売上高は157.2億ドル、1ドル90円換算で1兆4150億円にのぼりました。日本最大の広告代理店、電通の2010年3月期の連結売上高は1兆6786億円なので、この売上高に匹敵する規模です。

 電通と違うのは、検索連動型広告を実現するために必要なものは、基本的にサーバ上の検索連動プログラムを提供するだけであり、主なコストは人件費、研究開発費、サーバ維持費、管理費くらいです。そのため、第1回でみたように、今回比較した企業の中で最も高い営業利益率(グーグル全体の2009年12月営業利益率実績 35.1%)を実現し、2008年12月期第1四半期から10年12月期第1四半期までのGoogle.com事業での年平均成長率(CAGR)は+3.5%成長、マーケットシェアについても、これまでグーグルが検索エンジンにおいて圧倒的な強さを誇っていました。

 順風満帆なように見えるグーグルですが、検索市場での存在感を増す一方で、2009年は売上高の成長率が鈍化しており、成長神話に陰りが見えてきました。主戦場の検索エンジンも、グローバルではマイクロソフトのbingが徐々にシェアを上げており、今後、米Yahoo!の検索エンジンとして利用されれば、さらにシェアが上昇すると考えられます(日本ではグーグルが提供するようですが)。

 このように、グーグルは革新的であるがゆえに、高いハードルを課せられており、次の成長戦略を描いていく必要があるのです。

【次ページ】グーグルはなぜスマートフォンOSを無償で提供するのか?

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