IDC Japanは、2011年の国内市場の主要10項目の見通しを発表した。発表した10の項目は以下の通り。
本調査は、IDC Japanが毎年行っているもので、海外の調査をバックボーンに、日本国内のアナリストによって選考された。
今回、テーマの選定に当たって考慮したのは、新たな事業機会を追求できるかどうか、多くの市場分野に影響を与えるかどうか、ITベンダーやユーザー企業に構造的な変化や戦略の選択を促すものかどうか、市場のリーダーシップを確立できる機会かどうか、といった点。
発表にあたって登壇したリサーチバイズプレジデント 中村智明氏は「2010年はリーマンショックの影響もあり『ニューノーマルに直面するIT市場』というテーマだった」と振り返り、2011年については「規模的に見ると横ばいなのは変わらないが、中を見ると大きな変化が起きている」と指摘。2011年はここ数年の間に生まれたITの新技術が集約され、相互作用を起こしながら、IT市場に構造的な変化を、ITベンダーに戦略の選択を迫る「トランスフォーメーション元年」になるとした。「ひと言で言うとインテリジェント社会がはじまる年」だという。
この動きを牽引するのが、「モバイル」「ブロードバンド」「クラウド」の大きく3つの軸。この3つの要素が新しい社会のバックボーンになり、相乗効果をもって、さらなる変化をもたらすという。
中村氏は具体的に興隆するビジネスとして、1つはソーシャルネットワーク、もう1つはビジネスアナリティクスを挙げた。
その理由の1つとして挙げたのが「処理しなければならないデータが飛躍的に増えるため」。IDCの調査によれば、2011年に全世界で生成あるいは複製されるデジタル情報は1.8ゼタバイト(ギガ<テラ<ペタ<エクサ<ゼタ、10の21乗倍)と2010年比で47%増に達しており、2012年には7ゼタバイトに到達するという。
こうした中、ユーザー企業、IT企業がともにキープレイヤーであり続ける条件はどのようなものだろうか。中村氏は「特定の分野にフォーカスするだけでは不十分で、いかに組み合わせてエンドユーザーに届けていくのか、統合ソリューションを提供できるベンダーが次の時代の覇者になっていく」と指摘した。
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