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  • 2011/12/15 掲載

緊急提言:情報システム部門のグローバル人材育成と風土改革を実現する、新しい週報の使い方<後編>

グローバル人材の育成方法とは?

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現在、情報システム部門は、ビジネスのグローバル化に対応し、またグローバルITマネジメントを充実させるために、グローバル人材の早期育成を求められている。また、クラウドなどの環境変化の中で、部門の付加価値を更に向上させるために、ビジネス側と対等に渡り合う、言われる前に提案するといった風土改革が求められている。前編では、特に短中期に部員の思考と行動を変える必要がある重要なポイントを、メソドロジー(方法論)のフレームワークで定義した。今回はその続きをお届けしよう。

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント

大手コンサルティング会社を経て、現職。
製造業、情報サービス業などの、事業戦略、IT戦略、新規事業開発、業務革新、人材育成に関わるコンサルティングを行っている。
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 理事。
関連著書『正しい質問』アマゾン、『イノベーションのリアル』ビジネス+IT、『ダイレクト・コミュニケーションで知的生産性を飛躍的に向上させる 研究開発革新』日刊工業新聞、等

アクト・コンサルティング
Webサイト: http://www.act-consulting.co.jp

気付きを報告させ、知見を組織的に拡充する

 もう一つ重要な報告事項は、気付きとこれに基づいて考え出した知見である。グローバルな仕事、風土改革に基づく新しい挑戦は、これを実践する社員に、多くの気付きを与える。気付きは、無意識が新しい何かを発見した、新たな知見を創造できる瞬間だ。しかし気付きの時点では、それは無意識領域にあるので、そのままにしておくと、すぐに忘れてしまう。AA週報では、毎週、何に気付いたか、その気付きから新しくどのような知見を創造できたかを報告させる。これによって、部員一人ひとりの知見創造・獲得を支援することができる。

 たとえば、米国の開発プロジェクトに参画している日本の情報システム部の若手社員が、米国人のプロジェクト・マネージャーに報告する際、「君はまず Functional Objectivesを最初に言ってから報告するべきだ」と指導された。それまでこの若手は、口頭報告の場合、何を報告するかを先に考えず、しゃべっているうちに何とかなると考えていた。米国人のプロジェクト・マネージャーが言った、Functional Objectivesは、この報告で何を成すかを最初に宣言してから説明に入れという意味だ。そこでこの若手は、「報告前に何を報告するかちゃんと考えるべきだ」という気付きを得ることができた。この気付きに基づいて、この若手が考え出した方法(知見)は、1)報告前にこの報告で何を達成するかFunctional Objectivesを明確化し、2)これを達成するために何を言うかを決め、3)そこまで考えてから報告に臨むというステップだ。

 グローバル化にしても風土改革にしても、新しい思考行動が求められる中で、それを確実に実践できるようになるには、気付きに基づき新しい知見を得ることが重要である。「米国ではこのような方向付けがされないと人は動かないのか」とか、「ユーザーと対等に渡り合うには、こんな準備が必要だったんだ」という気付きが、新しい環境で高いパフォーマンスを上げるための知見を与えてくれる。さらに、気付きと知見が入った週報を、SNSやメールによって部員全員と共有すれば、一人ひとりの気付きと得られた知見を、世界で活躍する部員全員に共有させることができる。

 上長は、部下の気付きと生み出した知見を見ることによって、彼らが的確に環境に対応しているか判断できる。また、知見を部門全員で共有することで、組織的な能力アップを実現できる。さらに、離れた場所にいる、あるいは別のプロジェクトに入っている同格同士が、どのような行動によってどのような成果を生み出したか。どのような気付きに基づいてどのような知見を創造したかを共有することで、健全な競争心を醸成し、これが部員の成長を加速する。

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