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  • 2013/11/28 掲載

競争ではなく協創必要、日立 中西宏明社長が語るグローバル社会イノベーション

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今世界では、経済成長を上回るペースで、貿易や海外への直接投資が拡大している。日立イノベーションフォーラム2013で登壇した日立製作所 執行役社長の中西宏明氏は「グローバルな経済活動が非常に活発になってきており、国境を越える、もしくはある境界を越えていくところに世界経済発展の大きなポイントがある」と指摘する。発展はイノベーションによってこそ成し遂げられ、イノベーションはさまざまな壁を壊していくことによって実現される。中西氏が、日立のグローバルにおける社会イノベーション事業での取り組みについて語った。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

ヒト/モノ/カネが動き回ることで生まれる3つのシフト

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日立製作所
執行役社長
中西 宏明 氏
 世界の貿易や海外への直接投資が、グローバルな経済発展に大きく影響している。2か国間以上で結ばれる自由貿易協定(FTA)も拡大し、国を越えた経済活動が現在の成長の大きな前提になってきている。

 一方で新興国では更なる発展のために、医療や教育、通信、交通などさまざまな社会インフラの整備が求められている。

「翻って日本を見れば、国内の空洞化や国内市場の縮小、少子高齢化、地方分権などの課題に直面しており、これらを克服していくことが経済発展の大前提となる」

 そしてこれから世の中は、集中から分散へ、所有から共有へ、消費から循環へと動いていくと予想される。

 たとえばこれまで経済発展は欧米や日本などに集中していたが、新興国と呼ばれる国々は世界中に分布するようになった。情報処理の環境も分散化していく。すると自分で所有するものと皆で共有するものとがどんどん分かれ、マクロ的に見れば共有していくものがより増えていく。またリサイクルというだけでなく、ありとあらゆるものを皆で共有しながらうまく回して使っていくという大きなトレンド感も、国、政治、経済の各レベルで生まれてくる。

「こうした3つのシフトは、ヒト/モノ/カネが自由に動き回るからこそ可能になってくるもの。ある意味で、境界を乗り越えていくという動きの象徴的な現象だと理解している」

社会イノベーションに向けた日立のさまざまな取り組み

 そしてヒト/モノ/カネに情報を加えた4つの資源の自由な流通が、イノベーションに繋がっていく。

 しかしその際には、乗り越えなければならない3タイプの壁が存在する。それが時間/距離/空間の壁、組織の壁、制度/規制の壁だ。その際に重要な鍵を握るのは「やはり情報」(中西氏)だ。

 情報の活用によって、ベースとなるヒト/モノ/カネが今、どのように動いているのかを認識することが、以前よりも飛躍的にできるようになった。まず世の中で何が起こっているかを知るために、いわゆる“ビッグデータ”を集めて蓄積し、そこから必要な情報を探し出して分析をして、新たな可能性や将来を発見/予測する。そして新たなサービスを創出するのだ。

「情報こそが、社会を大きく変えていくための非常に重要な資源だ。こうした大きな情報をうまく活用して、経済の発展と社会課題の解決を実現していくことが肝要だ」

 ここで中西氏は、現在日立グループが取り組んでいる社会イノベーション事業について言及した。大きく8つの分野があり、各々エネルギー、水/資源、都市設計、ロジスティクス、交通、ビッグデータ(IT)、ヘルスケア、金融だ。

「これらの事業を推進していく上で、我々が持つものづくりの力、ITの力、そしてOT(Operation Technology:制御/運用技術)の力を利用し、サステイナブル(=持続可能であること)な社会の実現を目指す」

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(出典:日立製作所講演資料)


 たとえば日立は、古くなった列車を置き換える英国の都市間高速鉄道計画(IEP:Intercity Express Programme)というプロジェクトにおいて、車両製造を請け負った。しかし車両自体の製造は受注全体の半分以下だという。

「単に輸送手段を提供するだけでなく、メンテナンスをし、(故障などの)予兆診断を行い、さらには列車を時刻通りに運行させる運行管理サービスや、それら全体をファイナンスとして支える仕組みも構築した。車両に付随する必要機能を、“交通トータルソリューション”として提供した」

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(出典:日立製作所講演資料)


【次ページ】4つの資源活用がイノベーションの鍵を握る

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