今回の発表は、三菱樹脂がオーストラリアのビクトリア州に約5000平方メートルの太陽光利用型植物工場を建設し、2015年春から収穫した葉物野菜を現地高級スーパー向けに販売するというもの。


　三菱ケミカルホールディングスとオーストラリアはこれまでも、野菜生産の取り組みに関して協業を続けていた。

　国土の大半が砂漠に覆われるオーストラリアは、干ばつと深刻な水不足が農業生産の大きな課題となっており、こうした背景から2011年3月、三菱ケミカルホールディングスの研究機関「地球快適化インスティテュート」と同国ビクトリア州政府は、節水型農業研究に関する覚書を締結している。

　また2013年4月には、同州政府ノックスフィールド農業試験場の一部区画に、太陽光を利用した植物工場を建設。三菱樹脂グループ企業の閉鎖型苗栽培システム「苗テラス」や、葉菜類養液栽培システム「ナッパーランド」を組み合わせた実証実験を経て、本年4月から葉物野菜のテスト販売を行ってきた。

　テスト販売されたホウレンソウやルッコラなどの葉物野菜は、現地の高級スーパーで販売されている露地有機栽培等の高品質野菜と同等の評価を得られたことから、同社では事業展開可能と判断した。今回の「KAITEKI Fresh Australia Pty Ltd」設立にあって投じた金額は約10億円にもおよぶという。

　これまで日本と中国で植物工場の栽培システムを販売してきた同社では、培ってきたノウハウをもとに植物工場産野菜の生産販売事業を行い、無農薬葉物野菜のグローバル展開を目指す。