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  • 2016/02/26 掲載

秋田県大潟村は、なぜ「農業」で消滅可能性都市を免れたのか

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長年、日本一の人口減少地域といわれ続けてきた秋田県で、人口減少が緩やかな自治体がある。戦後、八郎潟の干拓で生まれた「大潟村」だ。2014年に民間の日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)がまとめた人口予測では、秋田県内で大潟村だけが「消滅可能性都市」を免れたほか、2015年の国勢調査速報値では、秋田市に次いで県内2番目に低い人口減少率を記録した。その秘密はいったいどこにあるのか。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

減反政策に振り回されてきた歴史

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秋田県の西部に位置する「大潟村」
 大潟村は国の八郎潟干拓事業で1964年に誕生した。県西部にある男鹿半島のつけ根に位置し、南秋田郡に所属する。2015年10月現在の国勢調査人口は3,108人。総面積170平方キロは東京都の山手線内がすっぽり入る大きさだ。もともと琵琶湖に次ぐ国内2位の湖を埋め立てたため、村内に山や川がなく、広い農地がどこまでも広がる。

 大潟村の農家には入植の際、1世帯当たり15ヘクタールの農地が配分された。全国平均のざっと10倍という広大な土地だ。これまではその大規模農地を活用し、日本有数の稲作地帯として発展してきた。

 現在は米以外に小麦、大豆など畑作物も栽培されている。国の減反政策で転作を求められたからだ。しかし、村の農地は水はけが極めて悪く、水田に適すものの、畑作に向かない。このため、離農者が相次いだほか、国の政策を無視して非正規流通米を生産する農家が続出するなど、減反政策に振り回されてきた歴史も持つ。

大潟村だけが出産適齢の女性人口増加

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 秋田県の人口は1956年の135万人をピークに減り続けている。2005年以降は毎年1万人を超す人口が減少、北東北3県の中でも減少幅が最も大きく、減少ペースは全国最大といわれてきた。大潟村はその中で異彩を放っている。

 秋田県調査統計課によると、2015年10月現在の国勢調査速報値の県人口は102万2,839人。2010年の国勢調査に比べ、6万3,000人余り、5.8%も少なくなった。市町村別で見ると、全25市町村が人口減少したばかりか、男鹿市、上小阿仁村、藤里町、小坂町、八峰町の5市町村が10%以上の減少率を記録した。県調査統計課は「社会減の影響もあるが、少子高齢化による自然減が響いた」とみている。

 この中で最も人口減少幅が小さかったのは、県都で中核市に指定されている秋田市の2.5%減。大潟村は3.4%減で、秋田市に次ぐ第2位に位置する。近隣自治体と比べても人口減少率の低さは飛び抜けている。人口急減が続く県内で、地方都市並みの減少幅にとどまっているわけだ。

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2015年国勢調査人口減少率

 2014年に日本創成会議がまとめた人口予測は、もっと衝撃的な内容が含まれている。20~39歳の女性人口を推計したところ、25市町村のうち秋田市を含む24市町村が、50%以上の減少となる消滅可能性都市に該当した。2040年の20~39歳女性人口は2010年に比べ、男鹿市の74.6%減を筆頭に、24市町村が50~70%台の減少率となった。秋田市も54.3%減という大きな減少幅を示している。

 これに対し、唯一の例外となった大潟村は15.2%増。総人口は2010年の3,218人が2,868人に減ると予測されたものの、出産適齢期の女性人口は2010年の311人が358人に増えると見積もられている。その理由は大潟村の農業にある。

【次ページ】所得が1,000万円を超す農家も少なくない理由とは?

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