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  • 2014/12/17

スマート・マシンによって人の仕事の何%が“破壊”されるのか?-ガートナー フェン氏

自律的に行動し、人間にしかできないと考えられていた作業や処理を行う「スマート・マシン」は、AIのアルゴリズムやハードウェアなどの進歩により、大多数のIT組織における従来型アプローチをすぐにでも破壊できることが証明されている。米ガートナー リサーチ部門 バイスプレジデント兼ガートナーフェローのジャッキー・フェン氏は「未来はすでにここにある。ただ均一に行き渡っていないだけだ」と指摘する。

執筆:レッドオウル 西山 毅

執筆:レッドオウル 西山 毅

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

コンピュータがワインのテイスティングを行うことも可能に

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 「Gartner Symposium/ITxpo 2014」で登壇したフェン氏は、スマート・マシンの持つ特徴として7つの項目を挙げた。

 1つめが、医療的な診断など人間にとって非常に難しい問題、言い換えれば“複雑性に対処できること”、2つめが“利用目的が非常に明確であること”。

 3つめが、単に人間の言葉を真似するのではなく“その意味を理解すること”。たとえば違う表現で質問しても、正しい答えが出てくることが重要だ。

 4つめが自動走行車に代表されるように“自律的に行動すること”、5つめが“受動的に学習すること”、6つめが“積極的に学習すること”、そして7つめが“確率的な予測を行うこと”だ。

「スマート・マシンのスマートさのレベルは、継続的にアップしてきている。今では顔認証も当たり前になったが、私が気に入っている分野の1つは、ワインのテイスティングのシステム」

 そもそもワインは、人間のエキスパートがテイスティングを行い、10年後にどうなるのかを予想して、値段が決まってくる。しかしコンピュータに農業上の情報、たとえば天候やブドウの酸度などの情報をすべて提供することで、人間よりもうまく予測ができるようになるという。

「今まで人間にしかできないと思われていた領域まで、スマート・マシンで代替できるような時代になってきている。たとえばディープラーニングというアルゴリズムは、複数のニューラルネットでより詳細に、精密に、多くの異なる項目を切り分けることを可能にする。大きく変わっている主たるエリアは、アルゴリズムを使って、コンテンツの増大に対応していくことになる」

スマート・マシンのカテゴリは行動別に、移動型、賢者型、実行型

 次にフェン氏は、スマート・マシンをその行動別に3つのタイプに分類した。

 1つめがMovers(=移動型)で、自律的に動いて人やモノを運ぶもの、2つめがSages(=賢者型)で、ナレッジベースのヘルパーとなるもの、そして3つめがDoers(=実行型)で、マシンフォーカスのヘルパーとして、実世界で何かを実現するものだ。

 「移動型のスマート・マシン」としては、米Kiva Systems(2012年に米アマゾンが買収)の倉庫用ロボットが挙げられる。



 これまで荷詰め作業は人が倉庫内を動き回って、商品棚から該当商品をピッキングしていたが、この倉庫用ロボットは自律的に倉庫内を動き回り、該当商品のある棚を荷詰め作業をしている人のところまで運び、また元の位置に戻すという動きをする。既にアマゾンの物流センターで稼働している。

 また英国に本部を置いて鉱業を営む多国籍企業のリオ・ティントは、南アフリカの鉱山で数年間、キャタピラーの自律走行トラックの運用を行っている。これによって危険な場所を人が運転する必要がなくなり、安全性は大きく向上した。また、通常、鉱山用トラックのタイヤは非常に大きく、摩耗すると何十万ドルものコストがかかるが、最適なブレーキ制御によってタイヤの摩耗は均一になり、この鉱山では約1億ドルの節約を実現することができたという。

「今後はパイプの中を蛇のように移動するものや壁を這い上がるようなもの、あるいは梯子を登るようなものなど、色んな動きや移動の仕方をするロボットが出てくるだろう」

 次に「賢者型のスマート・マシン」は、物理的な作業というよりも、知識型の作業を支援してくれるもので、たとえば数年前にコンシューマ分野で生まれた仮想パーソナルアシスタント(VPA)がある。アップルが提供するSiriもその1つで、音声認識と自然言語処理の技術を用いて、“ユーザーが何を知りたいか”をコンテキストベースで予測するものだ。

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Siri
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IBM Watson

 また知識そのもの、つまりコンテンツベースの支援を行うスマート・マシンとしては、学習アルゴリズムが搭載され、大量のテキスト情報から自ら学習するIBMのWatsonが有名だろう。現在ではこれを医療や顧客サービスの分野に活用するという展開も見られるという。

「さらに賢者型のスマート・マシンは自然言語を理解するだけでなく、構造化された文書を自然言語に変えて記述することもでき、さらには1つのリサーチの例として、エッセイのテストを、その内容や構造に基づいて採点するといったものもある」

 そして「実行型のスマート・マシン」はマシンフォーカスのヘルパーで、一例として、人の横で作業をしてくれる米Rethink RoboticsのBaxterが挙げられる。これは中小製造業向けのロボットで、その手を取ってやって欲しいこと、たとえばピッキング作業やパッキング作業などをやってみせれば、以降その動きをし続けてくれる。プログラミングも不要だ。

「Baxterには顔(=モニター)が付いており、何かできないことがあると“しかめっ面”になって止まってしまう。そこで横で働いてる人は、ロボットの表情を見ながら、手助けをする。価格も250万円で、通常の産業用ロボットよりも安い」



 この他、ソフトバンクモバイルが2015年2月に発売する人型ロボットのPepperは人の感情を理解し、それに合わせて声のトーンを変えることができ、またコーネル大学の介護用ロボットは、人の動作を観察して、何回か見るとそれを真似することができるという。

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Pepper

「こうした各分野で、スマート・マシンは既に現実のものとなってきている」

【次ページ】スマート・マシンによって人の仕事の何%が“破壊”されるのか

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