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  • 2015/05/01

日本電産、売上1兆円突破の原動力は“社運をかけて”取り組んだ新事業

永守社長は「通過点」と豪語

電子部品メーカー、日本電産の2015年3月期決算は大幅な増収増益で、売上高は初めて1兆円を突破した。日本電産といえば、ハードディスクドライブ(HDD)など電子機器に使われる精密小型モーターで世界のトップシェアを占め、グローバルな電子機器産業の生産の浮沈にその業績が影響されてきた。アジアのHDD生産拠点のタイが大洪水の被害を受けた2013年3月期は、最終当期純利益が前期の約5分の1の79億円まで落ち込んだ。しかし、翌2014年3月期は562億円までV字回復し過去最高益を更新。今年4月23日に発表された2015年3月期決算ではさらに762億円まで上積みし、2期連続過去最高益となった。その原動力は何だったのか。

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。

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(©gukodo - Fotolia.com)

「ビジネスポートフォリオ転換」に成功

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 米国基準の2015年3月期の決算内容は、連結売上高は17.5%増の1兆283億円、営業利益は31.1%増の1,112億円、税引前当期純利益は27.1%増の1,073億円、最終当期純利益は35.4%増の762億円と、大幅増収増益で4項目とも過去最高。年間配当は前期比30円減の70円だが、期初の2014年4月に1対2の株式分割を行っているので実質40%の増配だった。

 売上高は初の1兆円、営業利益は初の1,000億円の大台に乗せたが、永守重信会長兼社長は涼しい顔で「ただの通過点」と豪語している。

 なお、これまで「資本に比べて負債が多い」と弱点視されてきた財務は、2015年3月期の株主資本比率は55%に達し、目標の「50%超え」を1年前倒しで達成した。CB(転換社債型新株予約権付社債)の株式への転換が進んだためだが、その背景には、好業績や増配、株式分割によってもたらされた日本電産株の株価の上昇があった。

 カテゴリー別の業績では、「車載及び家電・商業・産業用」製品グループの売上高が33.2%伸びて4,600億円に達し、増収率が9.8%にとどまった「精密小型モータ」製品グループの3,979億円を初めて上回った。営業利益ベースでは630億円対367億円でまだ差があるが、永守会長兼社長は数年以内に抜くという見通しを示している。とりわけ、電動パワステ用モーター、電動デュアルクラッチ用モーターなど「車載」製品の売上高は前期比65.3%という急成長を遂げて1,970億円に達し、従来の主力、HDDモーターの2,041億円に肉薄している。

2年間で取り組んだ、ビジネスポートフォリオ転換

 日本電産は最近2年間の業績V字回復の過程で、「ビジネスポートフォリオ転換」と呼ぶ主力分野の複線化を推進してきた。その結果、車載製品がHDDモーターにほぼ並び、それを追い越そうという勢いになっている。自動車産業向けの需要を加えたことで、業績が電子機器の世界的な景況に左右される体質も改まり、経営基盤はより強固になった。

画像
日本電産 製品分野別の売上高推移(単位:億円)
※これ以外に「機器装置」「電子・光学部品」「その他」の製品グループがある。
(出典:会社発表資料)




 電子部品業界全体を見渡すと、大手6社の2014年度の受注総額は前年度比で約15%拡大し5兆円を超えたとみられるが、同業でも村田製作所、TDK、京セラなどはアップルの「iPhone」のようなスマホ市場の急拡大を追い風に増収を果たしているとも言える。

【次ページ】M&Aも駆使し2020年に売上高2兆円を目指す

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