• 2015/05/18 掲載

アジアを中心に急拡大が予測されるEコマース市場、海外展開を成功させる秘訣とは?

Digital River Japan 主催「グローバルEコマースサミット2015東京」開催レポート

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インターネットの普及により、今やビジネスは簡単に国境を越えることができるようになった。しかしながら実際に海外を対象としたビジネスは容易なことではない。モノの発送はどうするのか、支払いはどうするのか、税金はどう納めるのか、そのほかにも不正対策など、検討することは山のようにある。そうしたグローバルEコマースを検討している企業が抱える課題を、どう解決していけばよいのか? 4月23日に行われたDigital Riverのプライベートイベント「グローバルEコマースサミット2015東京」では、同社のソリューションを紹介するとともに、グローバルECの最新トレンドや海外で成功を収めるための重要ポイントなどが語られた。

急拡大する世界のEコマース市場、海外展開における4つの課題とは

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Digital River
ゼネラルマネジャー兼アジアパシフィック&Japan バイスプレジデント
ハンフリー・チャン氏
 最初に登壇したのは、Digital River ゼネラルマネジャー兼アジアパシフィック&Japan バイスプレジデント、ハンフリー・チャン氏だ。

 チャン氏はフォレスターリサーチ社と共同で行った調査結果を見せ、グローバルEコマース市場がいかに急速に伸びているかを示した。例えば日本の2014年のオンライン小売市場は630億ドルだが、2018年の日本の市場は990億ドルまで成長すると予測されている。これは日本だけに限らない。米国や欧州各国も同じだ。

 「そのほかにも興味深い数値があります」とチャン氏が披露したのが、約半数の企業が「ビジネスをグローバルに拡大していくこと」を重要課題として捉えている、という調査結果だ。しかし、「海外展開するには大きな課題があります」とチャン氏は続ける。

 ではどんな課題があるというのか。チャン氏は大企業を対象に行った調査結果を元に、そのトップ4を披露した。第一がMOR(Merchant of Record:金融債務の責任者)やSOR(Seller of Record:販売責任者)の問題。第二が売上税など各国・地域の税務関係部署への対応。第三は各国・地域の法遵守の問題。第四は不正管理である。

 そのほかにも水面下でたくさんの課題があるが、「当社ならグローバルEコマースを展開する際の生じる課題に答えられるよう、さまざまなソリューションを用意している」とチャン氏。その自信はマイクロソフトやトレンドマイクロ、サムソン、パナソニックなどのグローバル企業が同社ソリューションを採用していることからも裏付けられる。同社がサポートしているオンライントランザクションの総額は320億ドルにも上るという。

グローバルEコマースの最新トレンドから、海外展開の方法を探る

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Digital River
グローバルストラテジー シニアディレクター
ハワード・ウエスト氏
 次に登壇したのは、同社のグローバルストラテジー シニアディレクター、ハワード・ウエスト氏。セッションテーマは「グローバルEコマースの最新トレンドと海外展開方法について」。ハワード氏は15年間、Eコマースの現場にいるプロフェッショナルだ。以前、家族旅行で日本に来たことがあるそうで、今回のセッションも楽しみにしていたのだそうだ。

 まずウエスト氏は現在のEコマース市場規模を紹介した。A.T.カーニーの調査によると、2013年のワールドワイドのEコマースの金額は1兆2520億ドルだが、2017年には88%増の2兆3570億ドルになると予測されている。中でもアジア・パシフィックの成長はすさまじく、2013年の3830億ドルが2017年には1兆530億ドルになると予測されている。成長率は174%である。

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アジア・パシフィックのEコマース市場の成長はすさまじく、2013年から2017年の成長率は174%と予測されている

 「これによりEコマースが成長していくトレンドがあるのが分かるでしょう」とウエスト氏。とはいえこのような伸びが今後ずっと継続することはない、とウエスト氏はバラ色の未来が続くわけではないと警鐘を鳴らすことも忘れなかった。続けてウエスト氏は、Eコマースの商品別の売り上げデータを示した。

 「海外でEコマースを成功させるためには、ターゲットとする国や地域の消費者の行動を理解することが欠かせません」とウエスト氏は語る。そのほかにもグローバルEコマースを成功に導く要素がある。経済が成長しているか、インフラが整備されているか、そういったことをチャートにまとめて戦略を立案していくことが重要になると指摘する。

 では、どのようにグローバル展開を拡大していくのか。最初からすべてを整備してから始めるのではなく、徐々に成長させていくのが得策だろうとウエスト氏は言う。

 最初はハイハイの段階から始まる。この段階ではターゲットとした国の言葉に翻訳したサイトを立ち上げたり、そして何らかの決済方法を用意したりはするが、日本から出荷をするので消費者個人が輸入者になる。次は「歩く」段階。この段階になると先に加えて、さらにローカライゼーションが行われる。アドレスの有効性を確認したり、通関手続きが簡単にできるようにするなど、お客さまに商品が確実に届けるようにする。そして最後が「走る」段階。ターゲットとした国・地域に最適化された仕組みとなっているため、消費者は海外の企業のサイトだと意識することなく購入できるようになっている。例えば楽天はこの段階まで達しているとウエスト氏は言う。

「日本の楽天のサイトとRakuten USのサイトを見比べれば分かると思いますが、その国に応じたデザインになっています。もちろん配送もRakuten USは米国で行っています。これはその国のユーザーエクスペリエンスを追究した結果。このような状態がベストです。当社はハイハイの段階から走る段階まで、いずれの段階においてもお手伝いします」(ウエスト氏)

 グローバルEコマースを展開する場合、手っ取り早くAmazonなどのマーケットプレイスを使うという手もある。しかしウエスト氏は「自社でお客さまとダイレクトにつながる小売チャネルを持つことが重要だ」と語る。それは客層の違いだ。例えばより安く購入したいというお客さまだけをターゲットとするなら、マーケットプレイスでも良い。しかし中にはより良いサービス・製品を得たい、何か問題があればメーカーと直接やり取りをしたいというエクスペリエンスを体験したいというお客さまもいる。そういったお客さまを獲得するには、やはりダイレクトチャネルが不可欠だからだ。

 ではダイレクトチャネルを運営する上で、何が大事になるのか。「1つは信頼や保証を担保すること、そしてもう1つが、マーケットプレイスなどでは得られない豊富な情報を提供することです」とウエスト氏はその秘訣を明かした。

 最後にウエスト氏は次のように語り、セッションを締めくくった。

「Eコマースを成功に導くためにはユニークな製品を作り、適正な価格をつけ、本当にお客さまと信頼関係が築けるサイトを構築することが重要になります。そして当社ならそれをお手伝いできる自信があります」(ウエスト氏)

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