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  • 2016/01/29

苦境に立つ牛丼チェーン、吉野家は「ベジ丼」や「吉呑み」で成果を上げたのか?

吉野家ホールディングスの平成28年2月期 第3四半期決算が発表された。売上高は前年同期比4.4%増の約1386億円と増加したものの、営業利益は前年同期比40.3%減の約8.5億円と大幅に低下している。円安による原材料の高騰で苦戦を強いられる牛丼チェーン業界において、健康志向イメージを意識した「ベジ丼」や、ちょい飲み需要を狙った「吉呑み」など独自の取り組みを仕掛けてきた吉野家。これらの施策は果たして成果を上げたのだろうか。

フリーライター 渡邉 幸子

フリーライター 渡邉 幸子

横浜国大経営学部で学ぶ。経済ニュース、国際情勢ニュース、ITコラムから、軽いエンタメまで幅広くこなす千葉県在住のライター。

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激安路線から一転、吉野家の健康志向のイメージ戦略の成果は

 吉野家では、2014年12月から、主力商品の牛丼の価格を300円から380円にするなど、各種商品価格の値上げを実施した。米国で2011~12年に起こった干ばつの影響により、肉用牛の出荷量が減少し、牛肉価格が高騰したためである。加えて、大幅な円安もこれを加速させた吉野家以外の松屋、すき家といった大手牛丼チェーンも同じように値上げするなど、牛丼チェーンは苦境に立たされている。

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吉野家の健康志向メニュー
 こうした中で吉野家では、牛丼の値上げによる客数減少をカバーすべく、これまでとは異なる戦略を打ち出した。

 2015年5月から、野菜をメインにした「ベジ牛」や、牛肉を全く使わず、野菜しか入っていない「ベジ丼」、6月には第二弾として、低カロリーの商品「豆腐ぶっかけ飯」などを販売するなど、ヘルシーで健康志向なメニューを提供するようになったのである。ベジ丼は421kcal、ベジ牛も604kcalと低カロリーで、その分ベジ丼は530円、ベジ牛は650円と、これまでの商品と比べて高単価になっている。

 牛丼の値上げに伴い反転に打ち出した新機軸で、累計170万食を販売した。これまでのジャンクフードのイメージから一転、吉野家メニューは健康的だというイメージ転換をはかるために、攻勢をかけたといえる。

健康志向と吉呑み、吉野家が相反するイメージを共存させる意味は

 一方でもうひとつのユニークな取り組みは、約360店舗にまで展開を拡大しているちょい飲みサービス「吉呑み」だ。JR神田駅周辺の吉野家を吉呑み1号店として、約1年かけて収益性を検証したところ、吉呑み併設後は客足が伸び、夜間の売上は4割アップした成果を踏まえて、吉呑みの本格導入が決まった。

 健康志向と相反するイメージであるが、なぜこのような施策を行っているのだろうか。吉呑みは、2階建ての店舗の2階を使って行ってきた施策。夜は昼間の1/3程度の客数になる吉野家の遊休スペースに注目したものだ。全国に1200店舗あるうちの約50店は、1階と2階の2フロアからなり、夜は2階にまったく客がいないことも珍しくないという。その時間を有効活用すべく、カウンターを使って手軽に酒を楽しめるようにしたというわけだ。

 約20種類のメニューは、どれも100円~500円程度と、一般的な格安居酒屋に比肩する価格帯で提供している。ドリンクは、ハイボールやチューハイ、焼酎やホッピーなどがある。牛皿のほか、ハムポテトやウィンナー盛り、シメには小ぶりの牛丼も300円で用意している。

 なぜこのような低価格化を実現できているのか。これらのメニューを提供するにあたっては、吉野家のグループ企業とのシナジーが活かされている。マグロの刺し身はグループ会社の「京樽」から、メンチカツは惣菜の「おかずの華」から、牛すじ煮込みはステーキ店の「どん」から肉を仕入れているのだ。

 また、吉野家で使う通常の食材と一緒に運ぶので、物流コストは増えない。こういった理由から低価格なメニューを提供でき、顧客には喜ばれているようだ。今後も吉野家は駅近などを条件にした店舗で吉呑みを拡大していくといい、夜間の売上をカバーする重要な施策になりそうだ。

【次ページ】ベジ牛や吉呑みは成果を上げているのか?

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