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- 2016/07/05 掲載
5分で分かる「銀行」の基本、勘定系システムをイラスト1枚で理解する
銀行の3大業務とは
1つずつ説明していきましょう。まず「預金業務」とは、預金者の資産を管理・保管する業務のこと。一般の人が銀行に口座を持つと普通口座や定期口座を持ちますが、これを預かって管理する仕事です。
「融資業務」とは、預かったお金を元手に貸し出しを行うこと。融資も、担保の有無によって大きく2つに区分されます。たとえば、カードローン(消費者ローン)は無担保融資の代表で、住宅ローンは住宅が担保になっている担保融資になります。
そして最後が「為替業務」です。これは送金や振込などを行う際に発生する手数料収入を得ること。身近なところでは、コンビニATMから他行の口座を引き落としする際に発生する手数料は為替業務に該当します。
銀行の利益の大半は預かったお金と貸し出したお金の金利の差、「利ザヤ」によって支えられています。しかし、これは景気に左右されたり、ゼロ金利やマイナス金利といった政策の影響をもろに受けてしまいます。
そこで現在、銀行はさまざまなサービスを手がけるようになっています。その始まりは1998年。銀行で投資信託の取り次ぎ販売が開始され、2002年からは保険商品の取り扱いも許可されました。
いま、銀行は金利の低い預金商品に代わって、国債・外貨預金・投資信託・保険を「4大預かり資産」として販売し、その手数料を稼ぐのに注力しています。 ほかにも、デリバティブ取引、事業再生やM&Aの仲介、複数の銀行が融資団を作って企業貸し出しを行うシンジケートローン(協調融資)のアレンジャーなどがあり、これらは年々大型化の傾向にあります。
金融庁が定義する「主要銀行」は、この9行
では実際の銀行にはどのようなものがあるのでしょうか? 再編統合が繰り返された結果、銀行の名称も、その由来を留めないものが出てきています。金融業界には色々な業態があるので区分してみます。まずは金融庁が定義する主要行等(主要銀行)は、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ銀行、みずほ信託銀行、三井住友銀行、りそな銀行、三井住友信託銀行、新生銀行、あおぞら銀行の9行です。その預金と貸出金額は以下の通り。なお、下の表には掲載しましたが、埼玉りそな銀行は「地域銀行」のカテゴリーに分類されています。
もちろん、三メガバンクが中心的な役割を担っています。グループ別で見た場合は以下の通りです。
存在感を増すインターネット銀行
金融庁はまた、インターネット銀行などを「新たな形態の銀行」と分類しています。2000年10月にジャパンネット銀行が開業して以来、これまで10行の「新しい形態の銀行」が誕生しましたが、1行が破たん、1行が来年にも合併します。半数の5行で預金量が1兆円を超えており、そのうち3行が貸出金でも1兆円を突破。2007年開業の住信SBIネット銀行は、このカテゴリーで預金・貸金ともに断トツです。同行は住宅ローンが好調で、その預金量3.5兆円は地銀64行で比較すると30位の鹿児島銀行に匹敵します。
大和ネクスト銀行も開業5年目で早くも預金量3兆円を超えました。証券業界2位、大和証券のネームバリューが急成長を促した例です。
イオン、セブンの流通系2強の銀行対決は、後発のイオン銀行がボリュームで先輩格のセブン銀行を凌駕していますが、同行は2010年に「新しい形態の銀行」で唯一破たんした日本振興銀行の受け皿銀行になるなど業容拡大を急いだ経緯があり、セブン銀行には収益の面で負けています。セブン銀行の収益の大半はATM利用手数料で、コンビニ最大手、セブン‐イレブンの店舗網をフルに使って高収益を維持しています。
新銀行東京は2003年、石原慎太郎・東京都知事(当時)が中小企業融資拡充のため外銀信託を買収して設立した銀行です。「石原銀行」と呼ばれましたが、経営不振で2016年に東京TYフィナンシャルグループ入り。早ければ2017年4月にも東京都民銀行、八千代銀行との間で3行合併する予定で、そうなると「新しい形態の銀行」は8行になります。
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