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2016年12月07日

インドIT最新事情

株安、ルピー安のインド経済に激震!? インドの高額紙幣廃止問題とは

先月、インド株式相場の代表的な指標「S&P・BSEセンセックス」が、11月としてここ5年で最悪の月間パフォーマンスを記録した。通貨ルピーは対ドルで過去最安値1ドル=68.8650ルピーをつけた。インド金融市場のかく乱要因として、先月8日、インドのナランドラ・モディ首相が500ルピーと1,000ルピーの廃止を発表し、その動きに投資家が反応したこともあると言われている。ではこの高額紙幣廃止の狙いは何なのか。アジアでのビジネスを支援するエクシール・エフ・エー・コンサルティングの現地コンサルタントが解説する。

執筆:エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー
(訳:エクシール・エフ・エー・コンサルティング 大塚賢二)



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廃止された1000ルピー紙幣



インド首相肝いりのブラックマネー対策、「高額紙幣廃止」

 先月8日の午後8時、インド政府は、脱税を目的に現金のまま保有する富裕層の隠し資産、いわゆる「ブラックマネー」対策として、水面下で準備されていた予想外の対策を明らかにした。モディ首相が特別放送の中で、「これから4時間後に500ルピーと1,000ルピーの紙幣が無効になる」と発表したのだ。



 インドはGDPの12%を超える通貨流通量の高い国であり、そのうちの87%を両紙幣が占めている。しかし、世界的に見れば、これは異常な量ではない。国によっては、中央銀行が大規模なデノミ(通貨単位の切り下げ)を通し、経済に大量の通貨を供給していることもある。

 実際、この高額紙幣廃止措置で、インド国民は様々な問題に直面するだろう。しかし、不正を撲滅し貧困と戦っていく次世代のインドのためには、至極前向きな措置だと多くの人が受け止めている。

 発表後2週間余りで銀行は5兆ルピーを超える巨額の交換用紙幣を用意した。これは国内に眠っていた現金保有による所得隠し、ひいては脱税の温床といえる高額財産を引き出すだけでなく、不当な価格設定で歪められ過大評価された現在のマーケットを適正な価値で評価し、インドの中低所得者の生活を援助することにもなる。その結果、デビットカード、電子送金、モバイル支払プラットフォームが緊急に必要となり、これらが広まることにもなるだろう。

 ただ、そうは言っても、国民の行動は、そう早くは変わらない。特に、これまでのやり方から抜け出せない人にとっては、なおさらだ。そんな状況に対して、金融機関、情報通信プラットフォーム、支払用インターフェースといった大手企業・組織によるサポートの取り組みが発達し、サービス供給面のギャップを埋めていくであろう。こうした取り組みは、あらゆる顧客、とりわけ、これまでフォーマルな金融取引を手がけていない顧客層に適応したものでなければならないため困難を伴う。しかし、これまでになく前途は明るいものだといえる。

「高額紙幣廃止」がブラックマネー対策になる理由

 インドが目指しているのは、現金が全く流通しないキャッシュレスではなく、現金がより少なくて済む経済だ。政府は500ルピーと1,000ルピーの紙幣を無効にする代わりに、新紙幣2,000ルピーを導入する。あらゆる経済活動では、適法な高価格の取引が存在するからだ。

 今回のショックを伴う対応の真の狙いは、違法取引のコストを高めることにある。現金は匿名性があり、高額紙幣は持ち運びが容易なため、犯罪を助長する側面がある。したがって、現金がより少なくて済む状況を目指すことは、金融取引の利便性の維持と不正取引の抑制とのバランスに好都合なのだ。そのうえ、2,000ルピーの新紙幣はセキュリティ面で強化されたデザインを有しているため、単に旧紙幣を新紙幣に置き換える以上の意味がある。

 また一方では、キャッシュレス取引がモバイルやウェブ上のアプリケーションにおいて増加している。ほぼすべての銀行がオンライン上の財布のようなモバイルアプリを備えており、Paytm、Mobikwik、Oxigen、ItzCashといった主要なフィンテック企業の取引件数が増加してきている。

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(クリックで拡大)

インドのフィンテック分野スタートアップ企業とフィールド

(作成:エクシール・エフ・エー・コンサルティング)


【次ページ】高額紙幣廃止がインド経済に与える影響

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