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  • 2017/04/12

日本企業が「オープンイノベーション」を実現できない理由

元グーグル ピョートル・フェリークス・グジバチ氏インタビュー(前編)

イノベーションなくして成長はない。イノベーションを求めて、オープンイノベーションに着手する企業もあるが、日本企業の多くに停滞感が漂っている。このジレンマをどう突破すべきか。著書『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』の中で、グーグルで人材開発に携わった経験をもとに、イノベーションを生み出す働き方を明らかにしたピョートル・フェリークス・グジバチ氏が、イノベーションの本質と、日本企業の問題点を解説する。

(聞き手・編集:編集部 佐藤 友理)

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プロノイア 代表取締役
モティファイ チーフHRサイエンティスト
ピョートル・フェリークス・グジバチ氏


日本企業は「商品重視」「ユーザー無視」

――今日、どこの企業でもイノベーションが重要だと考えていると思いますが、ピョートルさんにとって、そもそもイノベーションとは何でしょうか。

ピョートル氏:商品やプロセス、組織などに関して、今まで存在していなかった価値を生み出すことは全部イノベーションだといえます。

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ボタンが5つしかないApple TV
(出典:Apple プレスリリース)

 テレビのリモコンを例にとって考えてみましょう。テレビのリモコンを使いこなしている人ってほとんどいないと思うんです。ボタンが何十個もありますからね。僕は以前何度か変なボタンを押してしまって、見ていた番組へ戻れなくなったことがあります。しかし、Apple TVにはボタンが5つしかありません。あれは完全にイノベーションです。

 一度、日本のメーカーの人に聞いたことがあるんですよね。「なぜ、あんなにボタンが多いのか?」と。そうしたら「隣の会社がそういう風に作っているから、同じように作らないと売れないんです」という答えが返ってきました。「そのボタンが必要かどうか」ではなく、「他社が何をしているか」が優先されてしまったわけですね。

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Facebookはユーザーの個人情報を使ってコミュニティとつながる。
(出典:Facebook プレスリリース)

 日本企業の考え方には「商品重視」「ユーザー無視」の傾向があると思います。お客さんの方を向いていない。利用者調査はしていますが、商品を使っていることが前提になっていて、ゼロからお客さんが求めているものを考えようとはしていません。「潜在的なニーズを顕在化すること」もイノベーションなのです。

 「ユーザーの行動パターンを変える」というのもイノベーションです。今度はSNSを例にしましょう。2006年頃、知り合いに「Facebookにページを持っていますか?」と聞かれました。私は「個人情報をわざわざネットに上げるなんてバカげている」と思いました。今から考えると僕がバカだったんですけどね(笑)。そのときは愚かな考えに思えましたが、Facebookはコミュニティとネット上でつながるという新しい行動パターンを作ったんです。

 他にも、Snapchatというアプリがあります。これは、画像や動画を共有するアプリなんですけど、アップして何日かしたらアップした画像や動画は自動的に消滅するんです。このアプリのメインユーザーは12~13歳のティーンエージャーで、「自動的に消えるなら、ちょっと恥ずかしいプライベートな写真をアップしてもいいかな」と思って使っているんです。



 こういう、今まで存在していなかった価値を生み出す企業には、「創業者に業界の経験がない」という共通点があります。つまり、「業界の常識」「業界の固定観念」がないんです。経験者は「こうあるべき」と考えがちです。そこから脱却することが重要です。これこそがdisruptive(日本語では「破壊的」と訳される)であるということであり、業界を変えるということなんです。

「オープン」じゃない日本の「オープンイノベーション」

――常識にとらわれている日本企業はイノベーションを起こせないのでしょうか。

ピョートル氏:日本の場合、イノベーションの多くはベンチャー企業から起こっています。

 まず言っておくと、中小企業とベンチャー企業は違います。中小企業というのは、すでに存在しているビジネスモデルをもとに、商品やサービスに創業者の知恵を加えていくものです。ベンチャー企業は今まで存在しなかった価値を生み出す企業で、成功すればとてつもなく大きくなる可能性を秘めています。この2つを混同してはいけません。

 大企業は難しいですね。組織がピラミッド状になっていて、壁がとても厚い。ピラミッドってお墓ですよね。中に収められているのは死体なんですよ(笑)。

【次ページ】それでもイノベーションを起こすにはどうすればよいのか?

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