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2017年09月21日

デジタル化で加速する「偽ブランド」の脅威、損失は130兆円超に

デジタル時代は巧妙な偽物作りにも大きく貢献している。3Dモデルにより細部まで注意しないと見分けのつかない製品がネット上には溢れ、それによる経済的損失は全世界で1兆2000億ドル(約133兆円)とも言われる。グッズだけではなく、薬の偽物も横行し、健康被害につながる可能性も指摘されている。筆者も引っかかったその手口とは。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

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偽物が出回っているのはアパレルブランドだけではない

(© MoustacheGirl – Fotolia)


世界中で横行する偽ブランド

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 米国のIP (Intellectual Property:知的所有財産)コミッションが米アジア研究センターなどの協力を得て2013年に出版した報告書「The Theft Of American Intellectual Property: Reassessments Of The Challenge And United States Policy」のアップデート版が今年2月に出版された。

 それによると2015年に米国に輸入された偽物製品は総額で580〜1180億ドルに上ると見込まれ、逆に米国製ブランド製品の偽物が世界中で販売された額は850億ドルに上る、という。

 世界で最も偽物製品の市場として狙われているのが米国で、米国内で販売されている偽物製品が知的所有権を侵害し企業などに与える被害額は売上全体の20%と見込まれる。続いて被害が多いのはイタリア、フランス、スイスで日本は5位。被害額の売り上げに対する割合は8%ほどだ。

 偽物の製造元は圧倒的に中国が多く、全体の6割強(2013年時点)で次が香港の2割強。2017年のアップデート版では中国と香港を合わせて偽物製品の実に87%が中国、香港から輸出されている、としている。

 中国が偽物メーカーとなるのは世界中の企業が中国に生産拠点を置き、そこから情報が漏れ出ること、さらにはサイバーアタックなどによる情報窃盗も疑われている。

偽物が出回っている製品カテゴリーは?

 米国で最も偽物が出回っている製品カテゴリーは1)アパレル、2)電化製品、3)スニーカーを含む靴、4)腕時計、宝飾品、5)バッグなどの革製品、6)医薬品、化粧品、7)DVDなどのオプティカルメディア、8)コンピュータと周辺機器、9)ラベル、タグ、10)自動車部品となっている。

 このうち「危険性がある」として最も警戒されているのはマイクロチップ(米軍事関連施設に大量の偽ブランドマイクロチップが流れ込み問題になったことがある)、化粧品(異物混入でアレルギー、肌の異常などの報告がある)、医薬品(多くが含むべき成分を含まず体に害を及ぼす可能性がある。ちなみに最も偽物が多い薬品はバイアグラ)、フットウェア(ナイキ、アディダス、プーマなど米国が誇るブランドのIPが著しく侵害されている)。

偽物とわかっていて購入するケースも

 最近の例を挙げると、アディダスがラッパー、ケニー・ウエストとの提携で発表したスニーカー「Yeezy」がある。世界中で大ヒットとなり、現在は品薄でほとんど手に入れることができず、ネットオークションでは1500ドルという価格がつくこともある。現在米国にはこのYeezyの偽物が溢れかえっている。本物と偽物はかなり詳細に見極めないと見分けがつかない。

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(クリックで拡大)

アディダスの「Yeezy」。左が本物、右が偽物


 問題は消費者が「偽物とわかっていて」購入するケースもあることだ。本物が品薄で高額であるため、100ドル程度の偽物を購入してとりあえず満足する、という若い世代も多い。調査では全体の7〜10%程度が「偽物だと認識していた」上で購入に踏み切った、という。

 米国ではファンがYeezyのスニーカーを差し出してウエストにサインを求め、ウエストがサインに応じながら「でもこれ本物じゃないよ」と語るユーチューブビデオが話題になった。製造元のアディダスがレア感を打ち出すためにあえて販売数を制限している以上、こうした問題は解決しにくい。

【次ページ】筆者も引っかかった偽物とは

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