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  • 2018/09/18

中国 製造業のデジタル戦略(後編):インターネットプラス政策の狙いはGAFA対抗

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

前偏では、中国の第4次産業革命に向けた2つの国家政策のうち、ドイツのインダストリー4.0型発展を目指す「中国製造2025」を取り上げました。後編ではGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表される米国のシリコンバレー型発展を目指す「互聯網+(インターネットプラス)」を取り上げます。中国の2つの政策のうち、「中国製造2025」に注目が集まりがちですが、実はこのインターネットプラスも非常に大きな意味を持ちます。ここではその概要と変遷、そして中国のデジタル戦略が目指す先を考察します。

東芝デジタルソリューションズ 福本 勲

東芝デジタルソリューションズ 福本 勲

東芝デジタルソリューションズ インダストリアルソリューション事業部 担当部長
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに貢献。現在は東芝デジタルソリューションズにてインダストリアルIoTの事業・ビジネスの企画を担う。一般社団法人 インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ エバンジェリスト。一般社団法人 東京都中小企業診断士協会 執行委員。ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)WG1 IoT による製造ビジネス変革メンバーなどをつとめる。

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中国が進める互聯網+(インターネットプラス)の狙いとは?

中国の国家政策「インターネットプラス」とは何か

 デジタル技術の進展を踏まえて、中国製造2025と並ぶ国家政策として立案されたのが「インターネットプラス」です。

 2015年3月の全人代の中で、モバイルインターネット、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、IoT、AIなどの発展を推進し、将来的には中国製造2025と組み合わせることによる製造業の発展を目指すために策定されました。

 また、電子商取引、インダストリアルインターネット、インターネットバンキングなどの健全な発展を促進することで、インターネット企業による国際市場の開拓を導くことも目的としています。

 これは個人データを集約し、現在のインターネット市場を席巻しているGAFAにみられる「シリコンバレー型」ともいえる政策で、中国製造2025がB2Bのビジネスモデルを対象としたものであるのに対し、インターネットプラスはB2Cを対象とした政策であることに特徴があります。

 全世界のインターネットユーザー数は30億人を超えたとされていますが、その中で中国は7億人を超える世界最大のインターネットユーザーを擁しています。

 特に個人利用については先進的で、9割以上がモバイルインターネット利用者であり、そもそもB2Cのインターネットサービス市場が発展する土壌があったといえるでしょう。

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インターネットの利用者数(単位:百万人)
(出典:情報通信白書 for Kids)
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中国のインターネット利用者数とインターネット普及率
(出典:第41回中国インターネット発展情報統計(抜粋・参考訳)、クララオンライン コンサルティングサービス)
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中国のモバイルインターネット利用者数と全体に占める割合
(出典:第41回中国インターネット発展情報統計(抜粋・参考訳)、クララオンライン コンサルティングサービス)

GAFA対抗のネット企業「BAT」台頭の背景

 中国ではインターネットの一般利用は1990年代後半から始まっています。中国政府は段階的にインターネットに対する規制を強め、2007年よりGoogle、Facebook、Amazonなど、影響力の大きないくつかの米国系インターネットサービスを順次国内で遮断しました。

 その遮断の前から、検索エンジンについては百度(バイドゥ:Baidu)、電子商取引については阿里巴巴(アリババ: Alibaba)、ソーシャルネットワークサービス(SNS)については騰訊(テンセント: Tencent)が中国国内向けのサービスを提供していました(3社の頭文字をとってBATと呼ばれています)。

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 BATは外資系のライバル企業のサービスが遮断されたことにより、それぞれの分野で独占的な地位を占めるようになりました。

 多くのサービスを組み合わせ、幅広いインターネットサービスを提供するに至り、現在では中国のインターネット業界で巨大企業に成長し、大きな存在感を示しています。

 さらに3社はマサチューセッツ工科大学(MIT)が毎年発表する「世界で最もスマートな企業トップ50」に2015年以降揃ってランクインしています。

 なお、2017年版では50社のうち9社を中国・台湾企業が占めているのに対して、日本企業のランクインはありません(2016年はトヨタ自動車、ファナック、LINEの3社がランクインしていました)。

世界のスマートな企業トップ50 2017(MIT)
順位社名国名
1エヌビディアアメリカ
2スペースXアメリカ
3アマゾンアメリカ
4トゥウェンティー・スリー・アンド・ミーアメリカ
5アルファベットアメリカ
6アイフライテック中国
7カイト・ファーマアメリカ
8テンセント中国
9リジェネロンアメリカ
10スパーク・セラピューティクスアメリカ
11フェイス・プラス・プラス中国
12ファースト・ソーラーアメリカ
13インテルアメリカ
14クアナジー・システムズアメリカ
15ヴェスタス・ウィンド・システムズデンマーク
16アップルアメリカ
17メルクアメリカ
18カーボンアメリカ
19デスクトップ・メタルアメリカ
20アイオニス・ファーマシューティカルズアメリカ
21ガマロンアメリカ
22イルミナアメリカ
23フェイスブックアメリカ
24ユダシティアメリカ
25DJI中国
26メルカドリブレアルゼンチン
27マイクロソフトアメリカ
28リゲッティ・コンピューティングアメリカ
29キンドレッドAIアメリカ
30ソフィア・ジェネティクススイス
31テスラアメリカ
32オックスフォード・ナノポアイギリス
33フォックスコン台湾
34エム・コパケニア
35フォーオールセキュアアメリカ
36フリップカートインド
37ブルーバード・バイオアメリカ
38アディダスドイツ
39IBMアメリカ
40ゼネラル・エレクトリックアメリカ
41アリババ中国
42HTC台湾
43ブルー・プリズムイギリス
44ジュミア(アフリカ・インターネット・グループ)ナイジェリア
45ベリタス・ジェネティクスアメリカ
46ダイムラードイツ
47セールスフォースアメリカ
48スナップアメリカ
49アント・フィナンシャル中国
50バイドゥ中国


 また、近年は中国のAIベンチャーの台頭も目立ちます。その戦略は徹底した「オープン志向」にあります。中国が強調しているのは安全性を確保するメカニズムの必要性ですが、そこで課題になるのは「透明性」です。

 AIが政治としても産業としても利用されるようなことがあれば、これらを悪用することにつながりかねません。オープンであれば監視が可能となるため、AIのリーダー国がオープン戦略で手を組んで、技術を共同で利用することが重要だというのが中国の主張なのです。

【次ページ】米中貿易戦争が日本と無関係ではない理由

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