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- 2018/11/14 掲載
最近のWindowsの品質には「疑問符」、企業は全社展開前に十分な検証を
連載:山市良のマイクロソフトEYE 第9回
IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など

April 2018 Updateの経験が生かされなかったOctober 2018 Updateのリリース
その良しあしは別として、Windows 10の品質レベルは、Windows Insiderにその多くを依存しています。そして、億単位のユーザーに対して、ボランティア的なWindows Insiderの規模は小さく、あらゆる問題が解決されるわけではありません。
特に、Windows Insiderの中で、日本語環境や企業のActive Directoryドメイン環境、企業向けクラウド環境でテストを行っているメンバーはさらに少ないはずです。
Windows 10の最新バージョンであるWindows 10 October 2018 Update(バージョン1809)が2018年10月2日(日本では3日)にリリースされましたが、特定の使用状況下でアップグレード時にユーザーデータが失われるという問題が明らかになり、数日後(日本では6日)にロールアウト(Windows Udpateによる段階的な提供拡大)が一時停止され、インストールメディアの提供も取り下げられました。その後、1カ月以上経ちますが、この記事の執筆時点ではまだ再開されていませんし、マイクロソフトからはその予定も示されていません(注1)。
・Resuming the rollout of the Windows 10 October 2018 Update(November 13,2018 10:00 am)
https://blogs.windows.com/windowsexperience/2018/11/13/resuming-the-rollout-of-the-windows-10-october-2018-update/
・Update on Windows Server 2019 availability
https://cloudblogs.microsoft.com/windowsserver/2018/11/13/update-on-windows-server-2019-availability/
前バージョンのWindows 10 April 2018 Update(バージョン1803)は、当初、OSビルド17133.xが正式版になるとされていましたが、その後、Release Previewリング(新ビルドを受け取るサイクルの短い順にFast、Slow、Release Previewリングがある)でこのOSビルドに問題が発生し、その修正版のOSビルド17134.xが再びRelease Previewリングを経て、2018年4月30日に一般提供となりました。こうして、“April” 2018 Updateになんとか間に合ったわけです(しかし、日本では翌日の5月1日でした)。
Windows 10 October 2018 UpdateはRelease Previewリングを経ることなく、突然の一般提供開始でした。April 2018 Updateのごたごたを経験したマイクロソフトは、スケジュールを優先させてしまったのでしょうか。わずか数日のうちに機能更新プログラムやインストールメディアの提供が停止されるという失態を見せることになってしまいました。
その後、修正された新しい機能更新プログラムがWindows Insider向け(Release PreviewおよびSlowリング)でテストされることになりました。マイクロソフトによると、今回の経験に学んで、今後のリリースを改善するそうですが、少なくともApril 2018 Updateの経験(Release Previewが役に立った経験)に学んでいればこうはならかなったはずです。
ここまでの話は、機能更新プログラムやインストールメディアによる新バージョンへのアップグレードプロセスのことですが、正式版として一般提供されたあとも、既知の問題の報告と修正が続きます。
Windows 10の長期サービスチャネル(LTSC、旧称LTSB)なら安定版を導入できると思う人がいるかもしれません。しかし、LTSC版のリリース時点ではそのときのSACの最新バージョンと同じOSビルド(Windows 10 Enterprise 2016 LTSBはWindows 10バージョン1607と同じビルド14393.x、Windows 10 Enterprise LTSC 2019はWindows 10バージョン1809と同じビルド17763.x)であり、リリース時点の品質は同じレベルにあります。
特に、Windows 10バージョン1803では、基本的な機能に関する不具合が目に付くようになりました。以下のサイトには、コミュニティベースでまとめられたものが公開されています。「よくある質問」というタイトルですが、実質的には既知の不具合の一覧になっています。修正済みものもあれば、いまだ調査中というものもあります。
・Windows 10 April 2018 Update (バージョン 1803) のよくある質問
https://answers.microsoft.com/ja-jp/windows/forum/windows_10-windows_install/windows-10-april-2018-update/983c16fc-437f-45bf-b163-e341926a687a
Windows 10バージョン1803の既知の不具合とその後の状況
特に気になるのは、日本語環境や企業向け機能に関する不具合です。上記の一覧には含まれないものを含め、企業での利用、社員の生産性に影響すると筆者が考える既知の問題とその後の状況(Windows 10バージョン1809の状況を含めて)について、いくつか紹介します。
●ユーザープロファイルの問題
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